姫海棠はたての逆襲(中編)

前後編で終わりませんでしたので、「姫海棠はたての逆襲(中編)」ということで掲載します。はたては書いているとなんか楽しいです(笑)。

……
心から驚いたような声に、はたてはツインテールにした髪をふわりと揺らしながら振り向いた。
まだ壊していない道路の歩道を足場に、射命丸文が額に手をかざしてこちらを見上げていているのが目に入った。
「なんでって、私は八雲紫に誘われただけよ。巨大化して好きに暴れていいって言うから。あんたは何してるのよ」
「私も八雲さんに誘われたのよ。面白い取材先があるからって。そうしたらここに来てて……」
一瞬の沈黙の後、はたては満面の笑みを浮かべ、文は顔をひきつらせた。
妖怪の賢者の意図は明確過ぎる程だった。
「ふーん。それはいい事聞いたわね。ねえ、文~」
「な、何でしょうか? はたてさん」
「よく人のことを古いだの引きこもり新聞記者だの、文以外友達のいないさびしんぼうだの言ってくれたわね」
「さ、最後は私じゃないと思います……」
「別にどうでもいいのよそんなこと。あんたには前からお返しししたいって思ってたのよね~」
「あややや……。それはちょっと遠慮願いたいですね」
「さあ、遠慮しなくてもいいのよ!」
にやりと笑って言い切った瞬間、はたては足を振り上げると文のすぐ横に下ろした。大して力を込めていなかったが、それだけで道路は陥没し、巻き込まれた車がスクラップと化す。
「ち、ちょっと……本気で止めて!」
「止めない。こんなに面白いことを止められるわけ無いじゃない」
「そ、そんな……」
普段は冷静沈着な文だったが、完全に泡を食っているのがはっきりと分かって、はたては一段と加虐的な気持ちになった。
恥も外聞もなく逃げ出した文を悠然と追いかけ始めたからである。
「さあ、早く逃げないと踏み潰すわよ~」
「そ、それは止めて! 洒落になってないから!」
「楽しいわね、こうやっし仕返しできると。えいっ!」
そう言いながら、巨大なはたては何度も文のすぐ後ろに足を振り下ろす。何とかかわすのはさすがだったが、すぐにはたてはある事実に気づいた。
なんで飛んで逃げないの? 幻想郷最速なんだから飛ばれたら厄介なのに……あ、まさか!
ある可能性を思いついた瞬間、はたてはミニスカートを大きく翻してジャンプした。そのまま、文の行く手を塞ぐように豪快に着地する。たったそれだけで、街全体を揺さぶる巨大な地震が発生し、一部の建物は脆くも倒壊する。文もまた不意を突かれて転んだが、立ち上がった途端にはたての巨大な足が行く手を塞ぐ。
「あっ……」
「やっぱり飛んで逃げないわね。逃げたくても逃げられないのかしら?」
「そ、そんな事ないわよ。あんた相手なら飛ばなくても逃げられるからに決まってるじゃない」
「ふーん。だったら逃げてみせたら?」
「言われなくても逃げるわよ。あと一つだけ言っておくけど」
「何よ?」
「この角度だと縞パン丸見え」
「それを言うなぁ~!」
当たり前のことを当たり前のように指摘されて、はたての心に火が点いた。何を思ったか、一本歯の下駄を脱ぐと、それを文めがけて投げつけたからである。本気で狙ったものの、コントロールが悪すぎて道路に面したマンションに命中し、大穴を開ける。
「くっ……。逃さないんだから!」
すっかり面倒になったので、はたてはもう片方の下駄も脱ぐと、ニーソックスに包まれた足で瓦礫を踏み潰しんだから文を追いかけ始めた。巨大化してソックスも丈夫になったのか、どんなに瓦礫を踏んでも、爆発炎上する車をまとめて潰してもまったく平気だった。
あ、こっちの方が楽じゃない。よーし、思い切りいたぶってやるんだから!
パンツを見られた恥ずかしさのあまり、はたては逆上していた。
文を追いかけながらも、周囲の建物をまとめてめちゃめちゃにし始めたからである。ブラウスに包まれた腕でラリアットを食らわせてビルを倒したり、渋滞する車をニーソックスに包まれた足で全部踏み潰したり、立ち塞がる建物をキックで壊したりやりたい放題だった。
「まるで怪獣じゃない、それじゃ」
はたてが破壊活動に熱中しているのに気づいて、足を止めた文が呆れたように言った。
「いいでしょう? どーせ巨大化してるんだから」
「そういう問題じゃないと思うけど……」
「悔しかったら文も巨大化したどう? 怪獣を止める正義の味方みたいに」
「出来るわけないじゃない。こうやって右手を上げて変身! なーんて言ってみたって何も……」
その瞬間。妖怪の賢者の気まぐれという名の奇跡が起きた。
文の身体がみるみる内に巨大化し始めたからだった。びっくりしたはたては慌てて後ろに下がったが、簡単には止まったりしない。
「まさか、これは……」
呆然として自分の体に起きた変化を確かめている内に、文の巨大化は完了した。はたてとほぼ同じ高さだったが、高下駄を履いている分、文の方が大きかった。
「さてと……。は・た・て」
「な、なに……?」
「よくも私を酷い目に遭わせたわね。お返ししてもいい?」
「え、えっと、ちょっとだけ手加減してもらえたら幸いかなー、なんて。テヘペロッ」
「可愛い顔で誤魔化すな!」
人当たりのいい取材用の顔をかなぐり捨てて、巨大化した文がはたてに飛びかかったのはその時だった。びっくりしたはたてがとっさに身を翻すと、文は両手を前にして住宅街にヘッドスライディングして、建物をまとめて破壊する。
「あー! そこ私が壊すつもりだったのに!」
「言ってることが滅茶苦茶じゃない! もう許さない!」
瓦礫と化した住宅をばらばらと落としながら、文が体を起こした。その瞳に怒りをたぎらせながらはたてを睨みつける。
その本人は既に建物を盛大に破壊しながら逃走を始めていた。
「もう……逃さないんだから!」
文とはたて、巨大化した二人の鴉天狗による壮絶な破壊劇が始まったのはその時だった。

……
逆襲したつもりが逆襲されるというのはよくある話ですね。次回は文とはたての巨大化キャットファイトになる予定です。さて、どういう結末になるやら。はたてちゃん不幸属性ありそうですし……。

次回の更新はOMC経由で依頼したイラストです。早ければ来週には更新したいと思っていますのでお楽しみに。
あと、サイト移転は準備中ですので詳細は決まり次第連絡します。このサイトの更新を楽しみにしてくださっている方たちの為にも今後も頑張りますのでよろしくお願いします。
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コメント

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はたて編続編お待ちしてました!次回の巨大娘同士のキャットファイトも待ち遠しいです。はたての靴下は黒ニーソだったり黒ハイソだったり絵師さんによって違いますがやはり女の子の靴下は嗅いでよし眺めてよしのいいものですね

No title

>ガリクソン様
お待たせしました(笑)。はたてちゃんは靴下がちょっと印象的だったのでこんな展開にしてみました。後編も頑張ります!

No title

更新お疲れ様です!

はたてと文の暴れっぷり、大破壊に期待しています!
自分は胸での破壊が大好きです。前回のはたての胸で建物を押し潰したシーン最高でした!
後編も胸での破壊シーンをお願いできないでしょうか?

二人が街をめちゃくちゃに破壊するのを楽しみにしています!

No title

>契音様
後編では胸による建物壊しも当然入れていきたいと思っています(今回アップのストーリーでもついつい入れてしまいましたが)。期待していて下さい!
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