街壊しゲームは準備が肝心


……また間が空いてしまいました。色々とやる事があってなかなか手が回らないのが原因ですが、更新は続けたいと思っていますので今後ともよろしくお願いします!
今回はSSです。「東方project」より、八雲藍(とその主人の八雲紫)の巨大化大暴れを描きたいと思います。よく考えるとこの二人、仕掛け人的な立場にあるので、その裏話として書いてみました。

……

「ふーん。上出来じゃない。いつもの事だけどいい仕事をするわね」
「ありがとうございます」
主人である八雲紫の言葉に、八雲藍は神妙に頭を下げた。
その背後に見えているのは神々しいまでに輝く九本の狐の尻尾。藍は妖怪の賢者・紫に仕える式神であり、神に近い力を持つと言われる九尾の狐でもあった。
「こんなに大きな街でも実在しないものなのね」
「はい。紫様の集めた外の世界の情報を編集して、矛盾の無いように再構築しました」
「それで私たちはこんなに巨大になってるのね」
嬉しそうに紫は言うと、手にしていた扇で手近なビルを差した。約50倍サイズに巨大化しているので、全ての建物がおもちゃのようにしか見えなかった。
「はい。この大きさならばこの程度の街は簡単に壊滅させることができます」
「ふふ。それが狙いなのよね。幻想郷には危険な破壊衝動を持った住民が多過ぎるから、少しは発散させないと駄目ね」
閉じた扇を口許に当てて、紫は微笑した。全ての男たちを魅了する妖艶な笑みだったが、それが合図となった。
いきなり、巨大化した紫はブーツに包まれた足で道路上の車を蹴散らして歩き始めたからである。アスファルトの道路が陥没し、その中に車が落ちていったが、紫は軽く腕を振って、目についた建物の上半分を吹き飛ばしてしまった。
「あらまあ……。脆いわね」
「はい。壊し易いように少しだけ弱くしてあります」
「いいわね……。テスト兼用で壊して上げるわ!」
藍が返事するよりも早く。巨大な紫は自らの破壊衝動をぶちまけるかのように大暴れを始めた。簡単に街は壊滅していったが、藍は顔色一つ変えない。
なぜなら……。
「藍、私の気は済んだわ。元に戻して」
「はい」
大型の駅やビルが建ち並ぶ地区を壊滅させて、その中心に悠然と立つ主人の言葉に、忠実な式神は軽く腕を振った。たったそれだけで、壊された建物などは全て元に戻る。
「完璧ね。ご褒美にしばらく貴方に自由な時間を与えるわ。気が済むまでこの世界で大暴れしなさい」
「はい。念の為にテストもしてみますので」
「いいわよ。貴方の好きなようにしなさい」
それだけ言い残して、紫はいつものようにスキマの中に消えていった。後に残されたのは、久しぶりに自由な時間を得た藍だけだったが、すぐに微笑する。
テスト兼用で好きにさせてもらいます。この街は破壊衝動を発散する為に用意したものですからね。
自分の心に眠っていた衝動を全開にして、巨大化した藍が本気になって暴れ始めたのはその時だった。

最初に標的にしたのは、藍が足場を置いていた駅前広場に面する大型の駅だった。まずは足元の車などを全て踏み潰しながら歩み寄ると、無造作に腕を振り下ろして駅の建物自体を破壊する。瓦礫がホームなどに落下し、電車などを巻き込んだのを見ると、今度は無造作に足を踏み入れてめちゃめちゃにしていく。駅の内部は簡単に破壊され、電車も一部が原形を失い始めたが、藍は破壊を躊躇ったりしなかった。
口許に笑みを浮かべると、一部を壊した電車を持ち上げて……何と見事なバストで挟んで壊してしまったからである。
ちょっと……気持ちいいかも。こういう壊し方も。
おそらく主人の紫が見ているだろうと思いながらも、藍は好き勝手に暴れるのを止めなかった。
電車を壊し尽くすと、今度は足だけを使って大型の駅をめちゃめちゃにしてしまったからである。駅の隣には車両ヤードもあったのだが、そこも巻き込んでしまうと、そこを足場に立ってみせる。
「建物とかの強度はちょうどいいぐらいと……。これなら幾らでも壊せそうですね」
そうつぶやいて、藍は口許だけで笑った。主人の命令で作った<幻想>の街並みだったが、その出来ばえには自身も満足していた。
「次は爆発炎上のテストが必要ですね。どこまで大爆発させられるか、確認しないと……」
この言葉が新たな攻撃の合図となった。巨大化した藍は壊滅した駅を出ると、その近くに広がる工場に足を踏み入れたからである。まずは、目についた建物を片っ端から蹴り壊していく。丈夫な靴で次々と壊していくのは楽しいの一言に尽きたが、テストの事は忘れていなかった。
鉄道の線路が引き込まれ、石油を満載したタンク車が留置されているのを見ると、その場に膝をついて一度に複数の車両を持ち上げたからである。おもちゃよりも軽く脆い事に満足しながら、藍は無造作にタンク車を目についたマンションに叩きつける。
その瞬間に起こった大爆発は、藍の予想通りだった。マンションは炎に包まれて壊滅し、その周囲もまた派手に炎上したからである。爆風が藍を直撃したが、所詮は<演出>なのでわずかな風程度にしか感じられなかった。
「計算通りの効果が出ているようですね。後は……」
自分の計算に寸分の狂いもない事を確かめて、藍の大暴れは加速した。心に破壊衝動を満たしたまま、今度は自慢の尻尾で周囲の建物を破壊し始めたからである。極上の柔らかさを誇る尻尾がふわりと揺れる度に住宅が、道路上の車がなぎ払われて破壊されていく。もちろんそれだけでは満足できず、踏み潰して止めを刺すのを忘れたりしなかった。
「手足を使うのもいいですけど、尻尾を使うのも悪くないですね」
広い範囲に渡って瓦礫を生み出しても、藍は罪悪感を覚えたりしなかった。実際、瓦礫や道路を踏みつけて立っている間にも、神々しい尻尾は背後にあるマンションを簡単に壊していたからである。
「でも、まだ無事な建物が多過ぎますね。どれだけの時間で壊せるか試してみるのもいいですね」
見事なバストを強調するかのように軽く伸びをしてから、藍は新たなテストを始めた。今度はどれだけ短時間で大量の建物を破壊できるか……だった。巨大化した式神にしてみれば、自分の楽しみを兼ねて試験しているだけだったが、狙われた街にしてみればたまったものではなかった。
無造作に座り込み、そのまま横になって転がった藍の巨体の下で建ち並ぶ住宅が一度に壊滅する。
オフィスビルなどが建ち並ぶ地区は藍自慢の尻尾が襲いかかるだけで壊滅していき、ただの瓦礫と化す。
大きな遊園地はそこに備えられた遊戯器具自体が<武器>となって破壊される。
全て藍によるテストの結果だった。
「まったく、藍も酷いことしてるわね」
主人の紫の声が再び耳に届いたのは、街の半分以上を破壊し、瓦礫の上に悠然と立っていた時だった。手には高圧電線塔の成れの果てを持っていたのだが、簡単に投げ捨てて答える。
「それを期待してたのではありませんか?」
「もちろんよ。でも、まだ物足りないわね」
突然、何も無い……ついでに言うならばまだまったく建物が壊されていない地区に50倍サイズに巨大化した紫が出現した。ブーツに包まれた足は建物を壊していたが、もちろん気にしていない。
「最後にもう一回だけテストが必要じゃない。この空間では無制限に近い程巨大化できるんでしょう? こんな感じで」
その言葉と同時に。
紫の身体が一気に巨大化した。50倍サイズの藍ですら足の一部しか見えない程に巨大化してからやっと止まる。おおよそ、1000倍サイズといったところだろうか?
ただ、足は地面についておらず、藍が破壊しつつある街はまだ何とか残っていた。
「ここまで大きくなると大変ね。街なんて一踏みで壊滅するじゃない」
「はい。ならば私も……。最後のテストをしてみます」
そう言って、藍も主人に負けない程巨大化した。空に向かって身長が伸びていくのは不思議な感じがしたが、街を壊したりしないように少し宙に浮いた状態で巨大化を完了する。
「あら? 壊さないの?」
「いいえ。壊します。こうやって……!」
その行動は、紫すらも多少驚く程だった。1000倍に巨大化した藍は、無邪気な笑みさえ浮かべて、半壊した街の上に座り込んでしまったからだった。そこに九本の尻尾がさらに襲いかかり……街どころか周囲の地形が完全に変形する程のダメージを与える。
「しかし、よく出来てるわね。こんなに打撃を与えても結界はびくともしないわね」
躊躇う必要も無くなったので、紫もまた着地した。地面が派手に陥没していくのが分かったが、その場に膝をついてさらにめちゃめちゃにする。
「これでテスト完了です。どんなサイズで巨大化して大暴れしても平気です」
「ふふ。そうみたいね。よくやったわ、藍」
「ありがとうございます」
街の上に座り込んでいた藍が立ち上がった。無造作に振った尻尾からはばらばらと何かが落ちてきたが、もちろん破壊された街の残骸だった。
「今後藍には撮影を担当してもらうわ。そして、幻想郷の少女たちに破壊衝動をぶちまけさせる。面白い映像が撮れるわよ」

こうして。
まったりとした幻想郷に新たな<遊び>がもたらされた。
妖怪の賢者が提供する<街壊しゲーム>。
最初は躊躇いながらも、誘い込まれた少女たちはその面白さに熱中した。
自分たちの行動が藍によって記録されているとは知らずに……。

……
次回はイラストの更新です。夏コミの後になりますが、ブログ開設2周年に相応しいイラストが手元にありますのでそれを公開したいと思います!

ここからは宣伝。
来週に迫った夏コミでオリジナル巨大娘小説「港町の守護巫女」の予告編を無料配付します。設定資料と書き下ろし短編「海からの使者」を入れて16ページ前後にしたいと思っています。スペースとサークル名は以下の通りです。

8/14(日)・東5地区・”プ”-20b「白鳳企画」

ほとんど私が店番していると思いますので、お気軽に声をかけて下さい(笑)。

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コメント

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久々

久々の作品公開ですね。

事前のテスト(紫達による破壊)があってこそ、安心・安全・楽しいゲームが出来るのですね。

イラストも、リクのssも楽しみにしてます。

夏コミに特攻(ぴちゅーん)してきます

No title

藍しゃまの大破壊ありがとうございます!

もふもふ等リクエストも入っていてとても良かったです!

それにしても・・・裏にはあんな光景があったのですね。

いつかまたリクエストさせていただいた時は、よろしくお願いします。

No title

>神風様
やっぱりテストが肝心と言うお話です。どんなシステムもそうなんですよ(仕事柄……)。夏コミにいらした時にはお気軽に声をかけてくださいね。

>paso様
大変お待たせしました。藍しゃまの大破壊ということですぐにこのネタが浮かびました。神にも近い力を持ちながらなぜかこういう役が似合う藍なのでありました。書き上げるまで時間はかかりますが、またリクエストお待ちしています!

No title

はじめまして。わずと言います。まだガキなほうの年です。東方と巨大娘好きです。これからちょくちょく見に来ます。

こちらこそよろしく

>わず様
おっさんに近い歳ですが、私も東方と巨大娘が好きです(笑)。これからもよろしくお願いします。
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