魔法少女たちの怪獣退治(後編)

先週はどうも調子が上がらず更新できませんでした。中途半端な作品を出すのも嫌なので、一週遅れてしまいましたが後編です。ではどうぞ。

……
巨大化した魔法少女・留衣とサザエラスの勝負は、なかなか決着がつかなかった。
サザエラスは想像していたよりもはるかに手強く、留衣は自分の考えが甘かった事を認めなければならなかった。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん」
「何よ麻美。話しかけないで……よっ!」
触手を振りかざして突っ込んできた巨大サザエを正面から受け止めてから、留衣は可愛い妹の為にわざわざ返事した。
「港とその周囲……めちゃめちゃ」
「仕方ないじゃない! こいつ強いんだから!」
平然と言い切ってから、留衣はサザエラスをまったく破壊されていない地区の方へと投げ飛ばした。中層のビルや商業施設が建ち並んでいたが、サザエラスの直撃を受けて軒並み破壊されていく。
「お姉ちゃん……壊してばかりじゃない」
「人聞き悪い事言わないでよ。戦ってるから仕方ないじゃない」
「うん……。麻美も壊したい」
「それが本音なのね……。だったらサザエラス退治を手伝って!」
相変わらずずれた会話を交わしながらも、留衣は足元の瓦礫を派手に蹴散らして歩き始めた。二人の巨大魔法少女たちの戦った一帯は全て破壊されていたが、気にかけたりせずに新たな戦場へと足を踏み入れる。
「しかし困ったわね……。全然弱らないじゃない」
「お姉ちゃん、もっと徹底的にやらないと駄目だよ。この街がめちゃめちゃになるぐらいに」
「麻美は壊したいだけでしょう?」
「だって……面白いじゃない」
怪獣退治の途中にもかかわらず、お洒落な衣装に身を包んだ巨大魔法少女は街を壊していた。新たな戦場となった地区を踏み入れると、邪魔な建物を片っ端から蹴散らしていたからである。
「そろそろ真面目にやって。本当は麻美の方が強いんだから」
「お姉ちゃんより強い妹っていうのも変なの」
「本当の事だから仕方……あーあ……」
留衣の言葉は途中で途切れた。いきなり、麻美が足元も気にせずに走り出したかと思うと、ようやく動き始めたサザエラスに豪快な体当たりを食らわせたからである。
しかし、相手が頑丈過ぎたのか、巨大化した少女は簡単にはね返されて、まったく壊していなかった住宅街の上に派手に転がる。またもや瓦礫が増えていき、一部が爆発炎上する。
それでも麻美は負けたりしなかった。近くに大型の電線塔があるのを見つけると、それを引き抜いて武器にしたからである。壊したばかりの住宅の上に膝をつき、構える。
「格好いいけど……街がめちゃめちゃだからシュールね」
「仕方ないじゃない。いくわよ!」
その後はどちらが怪獣か分からない程の乱戦となった。
麻美は電線塔どころか、線路から持ち上げた電車やビルすらも叩きつけてサザエラスと戦い、相手もまたそれに応えるように周囲を次々に巻き込みながら防戦したからである。
それでも戦いは終わらなかった。
魔法少女の可愛い衣装の下で、車がぎっしり停まった高速道路が潰れて無残な姿をさらす。
触手に掴まれた挙げ句投げ飛ばされて、派手に転がりながら建ち並ぶビルを一度に破壊する。
その後、お返しとばかりにガスタンクを叩きつけてまたもや爆発炎上させる。
あまりに容赦しない猛攻を受けて、怪獣のサザエラスはようやく弱ってきたが……。
「やっぱりこうなっちゃうのね。麻美が暴れたら何も残らないわね……本当に」
呆れたように留衣が言ったのは、駅を中心とした町の中心部が戦場と化してからしばらくしてからのことだった。そう言っている本人もまた「足場を作る為に」建物を派手に壊していたのだが、妹の方は高架線の駅を半壊に追い込みながら平然としていた。
「どう? 麻美って強い?」
「やり過ぎよ。でも、やっと弱ってきたわね」
にっこり笑って、留衣は瓦礫を蹴散らして歩き始めた。パンプスに包まれた足で車を踏み潰し、周囲の建物は手で壊しながら妹の前に立つ。
「そろそろ止めね。……準備いい?」
「もちろん。お姉ちゃん、お願い」
「麻美って……本当に可愛いのね」
そう言うのと同時に。留衣は妹の巨体をぎゅっと抱き寄せた。思わず麻美は子猫のように甘えた声を上げ、腰から落ちるように高架駅のまだ壊していない部分に座り込んでしまう。
「あっ……また壊しちゃった」
「いいじゃない。お姉ちゃんが許すから」
「うん……。ありがとね」
口ではそう言いながらも、可愛らしい魔法少女は駅をさらにめちゃめちゃにしながら横になっていた。その上に、正統派魔法少女の衣装に身を包んだ姉が覆いかぶさる形になる。
お互い、衣装越しに相手の温もりを感じ取って、気持ちが……魔力が高まっていく。
深い信頼で結ばれた実の姉妹だからこそ可能な究極の魔力増幅法……と言うと格好いいが、いちゃいちゃしながら街を壊しているようにしか見えなかった。
「駄目……もう、街が壊滅しちゃう……」
「いいじゃない。楽しそうだし」
「うん……」
いつの間にか、麻美は背中でビルを壊しながら留衣を受け止めていた。すっかり気持ちも魔力も高まっていて、ずっとこのままでいたかったのだが……。
留衣の後ろに最後の力を振り絞ったサザエラスが近づいているのを見ると、感情が爆発した。
「いいところを……邪魔しないで!」
その言葉がサザエラスにとっては死刑宣告となった。とっさに留衣を突き飛ばした麻美の渾身の蹴りによって、ついに防御能力を失ったサザエラスは大爆発して……吹き飛んだからだった。
周囲の瓦礫がさらに巻き上がり、無事だった建物も盛大に破壊されていったが、麻美は満足そうな笑みを浮かべる。
これで怪獣退治は終わりだった。
「麻美……突き飛ばさないでよ」
「お姉ちゃん……ごめん。ねえ、もっと遊ばない?」
「いいわよ。怪獣退治も終わったからご褒美ね」
その後。
二人の巨大魔法少女は街が壊滅するまでいちゃついたり、自らの破壊力を誇示したりして遊び尽くした。
ついでに言うと、一度完全に破壊された街は、すっかり満足した魔法少女たちが魔法で元に戻したので、被害はゼロで済んだという。
……もっとも。
その翌週にまた別の巨大怪獣が現れたので、復元された街はまた、巨大魔法少女たちの遊び場と化したのは言うまでもない。
こうして、歴史は繰り返す。何度でも……。

……
まったく、悪魔のような姉妹ですね(笑)。でも可愛いから許す!と思ってみたり……。

次回は久しぶりにOMC依頼のイラストをアップします。

久しぶりに宣伝。
巨大化できる二人の少女たちの大活躍を描くオリジナル小説「港町の守護巫女」の連載を本日から再開しました!
夏コミに関する情報も掲載していますので是非見に来て下さい。
他にも色々なオリジナル小説を取り揃えています。

ホームページ・地球人の一里塚
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MP

MP回復法があれとはびっくりw(°0°)wでした。

満足のいく内容でした、我儘なリクに答えて下さる戦国銀さんには感謝感謝です。

お礼に戦国銀さんが書きたくなる内容のリクを考えておきます。

PS:夏コミに会えたら感激です

No title

>神風様
遅くなってしまい済みませんでした。なんとかまとめることが出来ました。MP回復法は「百合」っぽい要素が薄かったので入れました。いちゃいちゃしながら街を壊す姉妹という妙に面白いシチュレーションになりました(笑)。
夏コミはおそらくほとんど私が店番していると思いますので、お気軽に声をかけて下さいね。リクエスト待ってます。
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