不思議の国の少女(12)-亜梨子大地震-


今回は前回も予告したようにSSです。連載が1年以上も続く事になるとは思いませんでしたが、後2回
程で終わると思います。おそらく……。

……

破壊衝動の固まりと化した二人の巨大少女……亜梨子と真夜は壊滅した港を後にしてまだ壊されていない地区を瓦礫にしながら歩き始めた。
揃って身長約160メートルになっているので、二人の歩いた後には約20数メートルの足跡と瓦礫しか残らなかったが、二人とも全く気にしていなかった。
「あーあ。そろそろこの大破壊も終わりね」
心から残念そうに亜梨子が言ったのは、足元にあった高速道路の高架線をローファーで簡単に踏み潰してしまった後の事だった。
「とっても楽しかったのに。あそこを壊したら終わりでしょう?」
「まあね。まさかここまで派手にやっちゃうなんて思わなかったから」
作り物なのか本物なのか分からない兎耳を揺らして、真夜が答える。ブレサー制服を着込んでいるので、「不思議の国のアリス」に出てくる兎ではなく、とある有名ゲームのキャラのようにも見えた。
「でも、最後は壊しがいがあるじゃない。大型ビルが林立してるんだから」
「そうね。かなり大きいし、また戦ってしまうのもいいわね」
「歓迎するよ」
真夜の返事を聞くと、亜梨子は笑いながら高速道路を全て壊してしまった。足元でどれだけの車が犠牲になったのか、想像もつかなかった。
「それにしても、大きな街だったのに随分めちゃめちゃになったわね」
「人ごとみたいに言うんだね」
「だって、わたしたちはちょっと遊んだだけじゃない」
「それはそうだけど……」
口ごもりながら答えて、真夜は既に破壊された地区を改めて振り返った。
最初は街のやや外れに降り立って壮絶な追いかけっこを演じ、住宅街などを全て壊滅させた。
続いて、遊園地を中心に派手にキャットファイトを演じて、辺り一帯を完全に瓦礫の山に変えてしまった。
その後、なおも追いかけっこを続けたものの、今度は街の中心部と駅を中心にして壮絶な戦いを演じてついに街の半分以上を破壊した。
その後は約100倍に巨大化して、港湾地区を水と炎で壊滅させた。
そして、ついに……。
「ほら、見て。こんな大きな建物なのに簡単に壊しちゃった」
気がつくと、身長約160メートルのセーラー服少女は最後まで残された高層ビル街に襲いかかっていた。足元では駐車場を簡単に壊滅させていたが、酷かったのはビル自体の被害だった。高さ約200メートルのビルが中央から両断されていたからである。
「こんなに簡単に壊せるなんて思わなかった。……ほら、こんなのだって簡単に持ち上がるんだから」
呆れる真夜に構わず、亜梨子は地上に落下させたビルの上半分を簡単に持ち上げてしまった。それを目についた別のビルに思い切り叩きつける。その一撃だけで攻撃を受けたビルは崩壊して、凄まじい埃を舞い上げたが、亜梨子は満足そうに笑っていた。
「私も負けないから。こんな地区簡単に壊滅させるよ」
それを見て、真夜も本来の破壊衝動に火がついた。亜梨子の作った瓦礫を踏みつけながら手近な建物に拳を振り下ろして、簡単に半壊させてしまったからである。それをスカートを翻しながら蹴飛ばして止めを刺すと、新たな瓦礫をローファーで踏みつけてみせる。
「ひっどーい。そんなに簡単に壊すなんて」
「人の事は言えないじゃない。……って、どこに座ってるの?」
「もちろん、壊したビルをこうやって潰してるの」
亜梨子は壊したビルの下半分に座り込んで足を伸ばしていた。ソックスとローファーに包まれた足は壊滅した大通りに投げ出され、車などをめちゃめちゃにしていた。
「さあ、また壊すわよ。こーするとどうなるかしら? えいっ!」
真夜があっと思った時には遅かった。亜梨子は制服のスカートが豪快に翻るのも構わずにジャンプすると、そのまま瓦礫の上に着地したからである。
たったそれだけで、着地した地面は大きく陥没し、周囲の建物がまとめてその中へと崩れ落ちていく。着地した時の衝撃は人類が経験した事が無い程の地震波となって、既に瓦礫と化した街をほぼ完全に壊滅に追い込む。また新たな爆発があちこちで発生して、崩壊した建物はあっと言う間に炎に包まれる。
そして、震源に近いビル街は……その一撃だけでビルがまとめて倒れて、まるで積まれた積み木が崩れた後のような有り様になってしまった。
「ちょっと、急にやらないでよ」
びっくりした挙げ句、突然地面が揺れたのでその場にしりもちをついてしまった真夜が抗議の声を上げる。スカートがまくれて縞模様まで丸見えになっていたが、気にしている風ではない。
「いいじゃない。でも絵になるわね。瓦礫に寄りかかっている制服少女って。しかもパンツが丸見え」
「これは見せパンだからいいの。君だってさっき思い切り見えてたじゃない」
「そんな事言うとお仕置きするわよ」
真夜が立ち上がるよりも早く、亜梨子は瓦礫を踏みしめながら近寄ってくると、少女の腕を掴んで立ち上がらせてしまった。そのまま、笑いながらかつてビル街の中心部だった部分に投げ飛ばす。不意打ちだったこともあって、真夜は為す術無く転がってさらに瓦礫を増やしてしまった。新たな地震波が起こり、周囲のビルの崩壊を促す。
「やっぱりわたしたちが暴れるだけで地震が起こるわね。地形も変わりそう」
「そりゃあ体重5万トンになっていればね。あーあ。この街も終わりだな」
「本当。地震一発で壊滅するなんて」
「だからやり過ぎだって。こうなったら最後の手段を使うしか無いか」
面倒臭そうに言いながら、真夜が立ち上がった。きょとんとする亜梨子に構わず、軽く腕を振る。たったそれだけで、壊滅していたはずの建物は全て元通りになってしまった。
「嘘……。街が全部元に戻ってる」
「私が作った街だから当然じゃない。さてと……最後の勝負してみる?」
「いいわよ。せっかく壊したのに元に戻すんだから。逃げても追いかけ回して引きずり倒してやるんだから」
「その意気だよ。それがあるからわざと元に戻したんだ。不思議の国のアリスは兎と最後の勝負をする事で、元の世界に戻ろうとしたのでした、ってわけだ」
「そうね。負けたりしないから」
せっかく復元したされたのにも関わらず、亜梨子は軽く足を動かして足元の駐車場と小さな建物を壊滅させた。身長160メートルになった今なら、一回戦うだけで街を壊滅させることが出来るだろう。
「だったら、わたしからいくわよ!」
亜梨子が高らかに宣言すると同時に、ついに最後の戦いと大破壊は始まったのだった。

……

ようやく最後の戦いです。しかし、体重5万トンの巨大少女がジャンプして着地したら本当に全部壊滅してしまいそうです……。というわけで、一度全部元に戻しました(笑)。次回、身長160メートル級の二人の巨大少女の追いかけっことキャットファイトをお楽しみに!
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