不思議の国の少女(10)-さらになる巨大化-

なんとかまとめられたので、今回はSSの更新です。展開は……予告した通りです(笑)。

……

大型の駅を中心とした中心街を完全に瓦礫の山に変えても、二人の巨大少女……正確には、亜梨子の破壊劇は終わらなかった。駅の周囲を破壊すると、今度は工場などが建ち並ぶ地区へと襲いかかろうとしたからである。
「……にしても、きりがないわね。こんなに建物があると」
平然と恐ろしいことを言いながら、両手を腰に当てた亜梨子は工場地帯を見下ろしていた。足元では通りの車を全て踏み潰していたが、もちろん気にしていない。
「完全に破壊衝動の固まりになってしまったわね。ここまで凄くなるなんて思わなかった」
ブレザー制服についた埃を払いながら、巨大兎少女の真夜が横に並んだ。既に用意した街は半分が壊滅して、一部は炎上している有り様だったが、ここまで気持ちのいい破壊劇は久しぶりだった。
「ところで、ちょっと提案があるんだけど聞く気はある?」
「今すぐわたしを元の世界に返すなんて言ったら怒るわよ。また戦ってこの街全部壊してやるから」
「わかってる。君にとってみればいい話だと思うよ。この街を壊し易くする為にもっと巨大化するんだ」
「巨大化? もうこんなに大きくなっているのに」
きょとんとして、亜梨子は自分の姿を確かめた。身長約50メートル近く、体重は1000トンを越えていたが、これより巨大化するということは……。
「どのぐらいのサイズがいい?」
「そうね。この街をもっと簡単に壊せるぐらいがいいわ」
「じゃ、このサイズね。服装を変えるならちょっと念じてみて」
「そうね。……次はやっぱりこれね」
一瞬の間合いを置いて、亜梨子の身体は光に包まれたかと思うと一気に巨大化を始めた。足場を置く道路がさらに陥没していき、巨大な穴を形作る。真夜は大きくなる亜梨子を満足そうに見つめ……笑った。一段の大破壊を期待して。
亜梨子の周囲から光が消えたのは、最初の身長から優に3倍は大きくなった後のことだった。
「どう? 気分は?」
まるで柱のようにそそり立つ相手を見上げながら、真夜は挑発するように訊いた。
「……凄い。高層ビルに上った時みたい。でも、足は地面についているんだから不思議ね」
そこにいたのは、身長160メートル、体重5万トンにまで巨大化したセーラー服少女だった。胸元は赤いリボンで飾り、返しのある白い身頃、濃紺色のプリッツスカート、白いソックスにローファーというごくオーソドックスな制服に身を包み、長い髪は下ろして白いヘアバンドで留めていた。
背景には一部が破壊された都市が広がり、清楚な姿とのギャップを強調していた。
「また制服に戻って暴れるんだ。いいセンスしてるね」
「やっぱりこれが一番じゃない。ところで、あなたはどうするの? このままだと勝負ならないじゃない」
「私も巨大化するよ。簡単だからね」
そう言うなり、少し亜梨子から離れて真夜も巨大化した。服装は変わらないまま、身長160メートルにまで大きくなって亜梨子と並ぶ。
「二人並ぶと迫力あるわね。高層ビルが2つ並んでいるようなものだから。しかも、その高層ビルは怪獣みたいに大暴れするのでした、っと」
そう言うなり、亜梨子はいきなり大暴れを再開した。びっくりする真夜を横目に歩き始めたからである。足元の車がそれこそ芥子粒ように潰れていき、道路には20メートルを越える大きさの足跡……正確には深い穴が残る。
「凄い。歩いただけで壊滅してしまいそう」
「今までみたいに暴れたらそれこそ30分ぐらいで壊滅するわよ。その時はちょっと街を広げてもいいけど?」
「その時にお願いするわ」
生返事気味に答えながらも、亜梨子は100倍サイズでの大暴れを楽しんでいた。周囲を歩いただけで壊滅させると、いきなりその場に両膝をついて座り込む。体重がかかる部分は亀裂が発生したかと思うと全て陥没して、そこに周囲の建物などが壊れながら落ち込んでいく。
それでも亜梨子は、無邪気に笑いながら四つんばいになって進み始めてしまった。その先にあったのは工場だったが、巨大化した女子高生に襲われるとたまったものではなかった。手や膝の下で簡単に建物は破壊されていき、その後には陥没した地面と瓦礫しか残らなかったからである。
「こういう壊し方も面白いわね。自分が圧倒的な力を持つんだから……」
工場の中央にちょこんと座り込んだまま、亜梨子は新しい破壊劇に酔っていた。手にはかなり大きな煙突が握られていたが、身長50メートル当時でも大きく感じたそれも、ただのおもちゃにしかならなかった。
「ここまで大きくなると巨大な建造物も簡単に壊せるから試してみる? 港に色々用意したから」
「あ、本当。吊り橋とかまであるじゃない。みーんな壊してしまうのもいいわね!」
軽い動作で、亜梨子は立ち上がった。プリーツスカートからは瓦礫がぼろぼろと落ちてきたが、軽く払うと手にしていた煙突を足元に叩きつける。それだけで建物が壊れたものを見ると、今度はローファーに包まれた足で踏み潰してしまう。25メートルを越える巨大な靴によって建物は一瞬の内に潰れて大穴の中へと落ちていく。圧倒的な破壊力だった。
「こんな工場、壊滅させてやるんだから!」
それでも、亜梨子は手を抜いたりしなかった。高らかに宣言すると、めちゃめちゃに歩き始めてしまったからである。足元で建物が次々に破壊されていき、プラントは大爆発したりしたが、構ったりせずに蹴飛ばして無傷な地区に瓦礫を落下させる。
目についた比較的大きな建物は両手で簡単に持ち上げると、思い切り力を込めて地面に叩きつけて壊す。
さらに瓦礫を片手で持ち上げると、目についたマンションに叩きつけてまとめて崩壊させる。
セーラー服に身を包んだ巨大少女によって、今までの何倍もの速さで工場地帯は瓦礫と化していく。
「これでウォーミングアップは終わり。どう? わたしの破壊力は?」
亜梨子が手を休めたのは、広大な工場地帯が全て壊滅した後のことだった。周囲は完全に瓦礫だらけになり、足跡が地面を容赦なく抉っていたが、当の本人は満足そうに笑ってポーズを決めている。
「最高だね。というわけで、そろそろ港を襲ってみる? 吊り橋とか船とか、みんな壊していいから」
「任せて。最高で最悪の破壊劇を見せて上げるから!」
あっさりと言い切って、身長160メートルになった亜梨子は長い髪を揺らして歩き始めた。まだまだ暴れ足りなかった。

……
100倍サイズの女の子を文章にした経験は殆ど無いので、今回はウォーミングアップです。それにしても、100倍サイズになると体重も凶悪そのものですね(笑)。この二人が歩いた後にはきっとクレーターが大量に出来ていることでしょう。
次回の更新はおそらく、OMC依頼ではないイラストになります。まだ途中経過しか確認していませんが、個人的には傑作になるのは間違いないと思います。お楽しみに!

夏コミ(コミックマーケット78)当選しました。
日曜日(8/15・3日目)東館:"ピ" -33b「白鳳企画」です。オリジナル小説などが中心です。
ジェントルな巨大少女たちの活躍を描く「港町の守護巫女」シリーズは……今回も新刊が出せそうにありません。
もしかすると、ウェブ連載という手を使うかもしれません。その時にはまた告知します。

最後にいつもの宣伝です。ホームページの方で長編ファンタジー小説を連載しています。

「おてんば姫は冒険者」
小さな王国の王女・ユリアは退屈をしのぐためにとんでもない企てを成功させる。従者のエヴァンを連れて王宮を抜けすと、冒険者になってしまったのだ。酒場で会った駆け出しの冒険者たちのパーティに加わったものの、その時王国には王位簒奪の陰謀が進行しつつあった……。
第2話を6/1、第3話を6/6夜に掲載しますので、お気軽にどうぞ。ライトなファンタジー小説です。

おてんば姫は冒険者メインページ




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