不思議の国の少女(6)-巨大化亜梨子VS防衛軍-

久しぶりの更新です。少し間が空いてしまいましたが、深い理由はありません。
今回はSS「不思議の国の少女」の6話です。亜梨子の服装を変えたらなぜか書き易く
なりました。やっぱり私は私服好きなようです(笑)。

……
亜梨子が服装を変えてからも、大暴れは続いた。
兎耳な巨大少女・真夜が人をからかうように逃げ続けるので、それを追いかけるのに必死だったからだった。
「もう邪魔! この建物!」
目の前に小型のマンションが立ち塞がっているのに気づいて、私服姿の亜梨子はためらい一つ無く足を振り上げて蹴飛ばした。
ふわりとチェックのスカートが翻り、ソックスとスニーカーに包まれた足が凶器と化してマンションを簡単に分断する。階層まで剥き出しになったが、亜梨子はかまったりせずに瓦礫を踏みつけると、ついでとばかりに足だけで全壊させてしまった。
しかし、被害はそれだけに留まらなかった。マンションを破壊した巨大少女は、周囲に立ち並ぶ住宅を片っ端から蹂躙し始めたからだった。建物が一瞬の内に瓦礫となり、電線が断ち切られて火花を散らし、潰された車がスクラップになったりしたが、カジュアルな服装の亜梨子は気にしているように見えなかった。
「……もしかして、わざとやってない?」
思わず真夜が声をかけたのは、一段と破壊劇が進んだ後のことだった。
「何のこと? 隙があるなら襲うわよ」
「それは勘弁してほしいけど、わざと建物を壊してるように見えてたからね」
「決まってるじゃない、わざとよ」
悠然とポーズを決めて、亜梨子は不敵に笑った。足元では道路上の車や瓦礫を踏み潰したままだったが、もちろん気にしていない。
「あなたを追いかけるのは半分口実。本当は破壊の限りを尽くしてしまいたいの!」
平然と言い切って、亜梨子は本能のままに行動した。いきなり真夜がいるのとは別の地区に襲いかかったからだった。
そこはちょっとした繁華街になっており、それなりに大きな建物も立ち並んでいたが、巨大化した亜梨子にしてみればただの獲物に過ぎなかった。
まずは大通りの車を全て蹴散らして進むと、立ち塞がった歩道橋を簡単に地面から引き抜いて両手に持つ。直後に何が起こるのか真夜には分かったが、声をかける間も無かった。
いきなり亜梨子は、束ねた髪を揺らしながら立ち並ぶファッションビルに歩道橋を叩きつけたからだった。武器を手にしている事もあって、建物はあっさりと前面が崩壊し、砕けたガラスが陽光に反射する。
それでも亜梨子は、豪快にスカートを翻して蹴りを浴びせると、両手をかけて思い切り押し倒してしまった。これで複数の建物が崩壊したが、なおも瓦礫を両手で持ち上げて別の建物に叩きつける。轟音が響き渡り、繁華街は次第に爆撃された後のように破壊されていく。
「派手に壊すねえ。見ていてほれぼれするね」
「いいでしょう? 幾らでも壊していいんだから!」
瓦礫の上に仁王立ちになっていた亜梨子は調子に乗っていた。不敵に笑って言い切ると、今度は電話局の建物に襲いかかって、屋上にあった大型アンテナを引き抜いてしまったからだった。
それを両手で持って構えると、いきなり電話局自体の建物に叩きつけて、アンテナと建物を一度に壊してしまった。
「このままじゃ街がめちゃめちゃになるな。そろそろあれを出すとするか」
あまりの暴れっぷりの良さに、真夜はついにある決断を下した。一段と面白くなる事を期待しながら、一回指を鳴らす。
「え……?」
心の底から破壊劇を楽しんでいた亜梨子だったが、異変に気がつくまで時間はかからなかった。自分が走った事で壊滅した通りに、まるでラジコンのように戦車が数台進んできたからである。
「今度は防衛軍と遊んでもらうよ。もちろんラジコン操縦だから気にしなくてもいい。……勝てるかな?」
「こんなのまで出すなんて……。平気よ、すぐにめちゃめちゃにしてあげる!」
新たな獲物の出現に、亜梨子は嬉しそうな笑みを浮かべたが、戦車が砲塔を持ち上げて最初の一撃を放った途端。表情は驚きに変わった。
いきなり腹部に衝撃があったかと思うと、そのまま大通りに座り込んでしまったからである。スカートの下で車などがさらに潰れてしまい、伸ばした手は周囲の建物を思い切り薙ぎ払う。
「今の、何……?」
「痛くなくても衝撃は消してないからね。反撃しないと何度でも食らう羽目になるわよ」
その言葉を合図にするかのように、戦車が一斉に砲撃を浴びせてきた。全て巨大な亜梨子に命中し、衝撃と爆発が少女を包み込む。
「もう怒った! 徹底的にやっつけてやるから!」
しかし、その攻撃は亜梨子を本気にさせただけだった。砲撃が止むのを狙って立ち上がると、ついに逆襲に出たからだった。
戦場と化した大通りのアスファルトに足跡を残しながら歩くと、巨大化した普段着少女は戦車の一台を片手だけで掴み上げる。相手が抵抗できないのを確かめると、笑いながら地面に向かって叩きつける。そこには他の戦車があったが、空中から落とされた<同僚>を受け止めるのは到底不可能だった。
次の瞬間、派手な爆発が発生したかと思うと、亜梨子の周囲は一瞬炎と煙に包まれた。さすがの巨大少女もびっくりしたが、視界が晴れると自分の破壊劇に満足そうな笑みを浮かべる。
「やっぱり簡単じゃない。次は来ないの?」
「相手にならないわね。だったらこれでどうかしら?」
再び、真夜が指を鳴らすのと同時に。
まるで魔法のように新たな戦車が十台近く出現した。いずれも亜梨子を狙っていたが、攻撃は実行されなかった。先手必勝とばかりに、身長50メートル近くになった少女が豪快な蹴りを浴びせたからだった。それだけで半数が吹き飛び、周囲の建物を巻き込んで爆発したが、亜梨子は近くのビルの屋上から看板を引き抜くと、今度はそれを残っていた戦車に叩きつけた挙げ句、そのまま歩き始める。
「何をする気かしら?」
「もちろん、お仕置き!」
嬉々として言い切るのと同時に。赤いスニーカーがついに戦車の上に下ろされた。そのまま全体重をかけると、まるで模型のように簡単に潰れてしまう。
あまりのあっけなさに亜梨子は少しだけ驚いたような表情を見せたが、すぐに他の戦車も踏み潰してしまった。
「どう? わたしの暴れ方は?」
ついでとばかりに周囲の建物を壊して、亜梨子は瓦礫の上に立ってポーズを決めた。
長い黒髪を軽く束ね、プリントTシャツにブルーのチェック模様のスカート、スタジャン風のジャケット、膝までの長さの黒のソックス、そして赤のコンバーススニーカー。
シンプルでカジュアルな私服姿のまま身長50メートル近くになっていたが、なぜか周囲の瓦礫が不自然に見えなかった。
「最高だな。正直、追いかけっこよりも面白いな」
「そうね。で、次は何をするの?」
「よし。また戦ってみる? 勝ったらポイントを進呈するから」
「いいわよ。今度も負けないから! 戦場はそうね……あの一帯でいいかしら?」
「復元されたお城にビルの建ち並ぶ中心街、そして大型の駅か。リングには最高だな。いいよ。それでいこう」
あっさりと真夜は同意した。
彼女もまた、追いかけっこよりも街を破壊し尽くしながら戦う事に楽しみを覚えていたのだった。
こうして。
二人の巨大少女の追いかけっこの舞台となっている街は、戦場と化して破壊されていくのだった……。

……
次回はイラストですが、来週には更新したいと思います。今年の更新はそれで終了し、後は来年となります。

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「-少女幻想調査行-深淵の月」。
現代日本を舞台にした物語で、現在ホームページの方で連載中です(12/15連載を再開しました)。幻視能力を持つ少女・七海と「この世の不思議を見抜く」力を持つ春那のコンビが、月と水が織りなす「深淵」の謎に挑む物語です。少女同士の友情物語(ソフト百合ともいう(笑))が好きな方は是非どうぞ!


-少女幻想調査行-深淵の月・ホームページ

「星の夢の終わりに」
異世界ファンタジー小説で、これも現在ホームページで連載中です。記憶を失った少女・セシリアと婚約者を失った少年・ランベルの出会いから始まる物語で、現在51話まで連載が進んでいます(12/20更新)。大長編ですが、連載なので少しずつ読めると思います。

星の夢の終わりに・ホームページ
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