河城にとりの悪夢(前編)

今回は予告した通り、河城にとりのSSお送りします。もちろん巨大化してやりたい放題ですが(笑)。
「東方」に出てくる河童はにとりを筆頭に可愛いですよね~。まだイラストには描いたことが無いですが、にとりもいつか描いてみたいと思っています。ちなみににとりと同じぐらい好きなのが、モブ河童の中にいるおかっぱ髪の子です。おかっぱの河童という駄洒落なんでしょうかねえ……。十分に可愛いので問題ありませんが。ちなみにモブ河童たちのキャラデザも神主が担当したそうです。ならばせめて名前ぐらいは……。

……
「……。どうやら風邪のようね。薬を処方するわ」
八意永琳の言葉に、河城にとりは少しだけ目を丸くした。
色々な薬の匂いの交じる古風な診察室。
そこにいるのは体調不良を訴えて永遠亭に来た河童の少女と医者兼薬師だけだった。
「風邪?」
「ええ。妖怪だって風邪ぐらいはひくの。風邪を引かないのはせいぜい一部の妖精ぐらいなんだから。河童用の薬を処方するから一日三回、食後に飲むこと」
「……わかりました」
熱っぽい額を押さえながら、にとりは小さく頷いた。いつもより熱心に発明に打ち込んでいたので疲れただけかと思っていたので、意外と言えば以外だった。
「最近、誰か風邪気味の誰かと接触は無かった?」
「ううん。いつも通りかな。最近会ったのは文と椛、あと魔理沙ぐらいだから」
「魔理沙なら昨日霊夢とアリスとパチュリーに拉致されてここに来たわ」
「へ?」
「あの黒白、風邪を引いて熱があったのにいつものようにあっちこちに出しゃばって病原菌をばらまいてたのよ。それに霊夢がキレて実力行使に出たみたいね」
「はあ……」
魔理沙らしいや、と思っただけでにとりは魔法使いの少女を恨んだりはしなかった。
強引で、やる事が滅茶苦茶で、たまに本を盗まれても魔理沙は好きだった。<盟友>以上に……。
「はい、この薬を飲めばすぐに良くなるわ。お大事に」
「うん」
薬の入った袋を受け取って、にとりは席を立った。
今はとにかく、熱っぽくてだるい状態をどうにかしたかった。

「うーん……。困ったわね……。なんであの薬が足りないの? お師匠様の真似をして作ったのはいいけど、まだ人体実験もしてないのに。……ま、いいか。どうせ飲んでもちょっと悪夢を見るぐらいだし♪」

「……ここは? どこ?」
さっそく薬を飲んで布団に潜り込んだにとりだったが、気がつくと。
今まで見たこともない場所にいることに気づいた。
幻想郷とは思えないほど灰色の地面、無機質な印象を受ける角ばった建物群、無数に張り巡らされた電線……。
「うーん……。本で見た外の世界にそっくりだけど、大きさが違うか。模型みたいに小さいし……」
帽子に手をやって、にとりは今の状況を把握しようと務めた。薬がさっそく効いてきたのか、寝るまでのだるさが嘘のように消えていたが、自分がどうしてここにいるのか合理的な説明は思いつかなかった。
「まさか夢の中かな。確か布団に入ってすぐに寝てしまって……。とすれば……」
顔を伏せたにとりの口元に笑みが浮かんだ。なぜ夢の中でこんな所に迷い込んだのか分からなかったが、本の中にしか無かった外の世界が目の前にあると好奇心が抑えられなかった。
「だいたい三十分の一ぐらいかな? とすると、今の私は三十倍サイズになってるんだ。調べやすくていいかも♪」
無邪気な笑みを浮かべて、巨大な河童の少女は悠然と歩き始めた。歩き始めてすぐにトラブルに見舞われた。
道路の中央に張られていた電線を、長靴に包まれた足で思い切り断ち切ってしまったからである。切れた電線は盛大に火花を散らして道路に落下したが、にとり自身は何も感じなかった。
「びっくりした……。そっか、電気はここを通ってるんだ。でも、こんなに張り巡らされてたら歩けないよ」
両手を腰に当てて溜息をつく。よく見ると道路上にも車が多数あって邪魔で仕方なかった。
「……。やっぱり、少ーしだけ壊してしまうしかないよね。このままじゃ何も調べられないし」
自分で自分に言い訳すると、再び歩き始める。再び電線が断ち切られて火花が派手に散ったが、予想していたので気にしたりはしなかった。それどころか、道路上にあった車をまとめて踏み潰してしまう。
「うわ……。簡単に潰れちゃった。鋼鉄で出来てるって聞いてたけどやっぱり脆いや。こんなに大きくなってるんだから当然かもしれないけど」
そう言いながらにとりは通りに面した建物に手を掛ける。かなり大きなものだったが、巨大化した少女の胸元ぐらいまでの高さしかなかった。
「大きな建物だな……。幻想郷では考えられないよ。中はどうなってるのかな?」
両手を太ももに置いて少し腰をかがめる。スカートに包まれた形のいいヒップを反対側の建物に押し付けながら、窓から内部を覗きこむ。
「うーん、あまり見えないな。もっとこう……」
そう言いながらにとりは指で窓ガラスを突き破ってしまった。痛みすら感じないまま内部に手を入れて、<中身>を確認する。指だけで室内は全て破壊されてめちゃめちゃになったのだが、にとりはまったく気にならなかった。彼女が気にしていたのは建物の構造自体だったからである。
「どうしようかな……。ちょっとだけ分解してみればいいか」
つぶやくのと行動が同時だった。いきなり巨大な河童の少女は建物の上層部に手をかけると、力任せに引き剥がしてしまったからである。鉄筋とコンクリートでできた建物もあっさりと破壊されたが、にとりは笑みすら浮かべていた。
「うわ~。こんな構造になってたんだ。巨大化してるから簡単に分かるな。……なるほど、こうやって組み上げればいいんだ」
両手で持ってた建物の一部を無造作に放り投げて、にとりは建物に密着して観察を続けた。放り投げられた瓦礫は無傷の建物を巻き込んで新たな瓦礫を作り出したが、当の本人は気にしていない。青い瞳を輝かせてながら、建物を分解……破壊していったからである。
「なるほど。やっぱり面白いや。人間の建物ってこんな風に作るんだ。あ、土台はどうなってるんだろう?」
その時のにとりは完全に調査欲に取り付かれていた。構造はあらかた調べたので、邪魔になった建物自体をキックで壊してしまったからである。スカートを翻した軽い蹴りだったが、建物は中央部から崩壊し、周囲の建物にも深刻な被害が及び始める。それでも巨大化したにとりは舞い上がる埃をかき分けながら残りを手で壊して、土台をむき出しにしてしまった。
「あ、なるほど……。こんな風に支えてるんだ。巨大化してるとよく分かるのが嬉しいな。幾らでも分解できるしさ」
道路に無造作に座り込んで、にとりは心から感心していた。
「でも……。まだまだ物足りないな。こんな建物があるんだから全部調べてみないとね♪」
スカートから埃を落としながら立ち上がると、辺りを見回す。見回して、自分が周囲をかなり破壊してしまったことに気づく。
「あちゃ……。やっちゃった。でも、少しぐらい仕方ないよね。全ては調査のためなんだから」
平然と言い切ってにやりと笑う。いつもよりずっと腹黒い笑みだったが、当の本人はまったく気づいていない。
それどころか、さらに調査を続けたからである。
まずは周囲の一部が破壊された建物を中心に、その構造を調べて回る。自分の見た物とその分析結果を全て記憶しながらも、その巨体を活かして次々に建物を破壊していく。
「あーびっくりした。意外と脆いんだよね……。こうやって座り込んだだけで潰れちゃうんだから」
少し休もうと思い、まだ壊していなかったマンションの上に座り込んだにとりだったが、簡単に崩壊してしまったのでバランスを崩して背中から住宅街に転がってしまった。スカートがふわりとまくれて下につけている紺色の古風な水着まで見えてしまったが、気にしないまま空を眺めていた。
「とにかく調査調査。こんな機会滅多にないんだから」
そう言いながら、にとりは軽快な動作で体を起こした。まだ壊していない建物を派手に巻き込みながら立ち上がる。
「そうだ。調査が終わったらみーんな壊して遊んでみようかな。ちょっとだけ面白いし、遊ぶのも人生には大事だよね♪」
辺りを見回し、新たな調査対象を探す。すぐに大型のビルなどが立ち並んでいる地区を見つけると道路上の車を全て蹴散らしながらそちらへと向かうのだった。

……

主役担当のキャラを巨大化させる方法は色々ありますが、今回は永遠亭ネタです。「東方」の場合ちょっと理屈をこねればパターンは幾らでも作れるので助かります(笑)。

次回はイラストの更新回ですので来週には更新したいと思っています。SSの後編はその後に更新しますのでお楽しみに!
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明日から

明日からもう7月ね・・・

サー活動にブログ活動・・・大変ね。

ロッテ[ヒナとの交渉の進捗具合が分からなくて困惑よ]

リオン[ヒナお姉ちゃんとの交渉・・勝者はどっちかな?]

ユラ[交渉はギブアンドテイクが基本です・・]

アリシア[ヒナお姉ちゃんと一緒に体験出来たら良いな]

ヒナ[負けないわ負けたくないもん・・でも体験してみたい・・]

もう7月ですね

>神風様

薫「作者は休みを取るのも大変な状況のようです。憂さ晴らしで精一杯だとぼやいてました」

黒羽「はあ。それをロッテに言えっていうの? 自分は出てこないなんてかなりいい加減な作者ね」

薫「例のシステムについてのヒナからの要望は「自分で体験してからでもいいんじゃないか? なんなら姉妹揃ってどうか」って笑ってましたよ」

黒羽「一応やる気はあるみたいね」

はい、おっしゃる通りです。やる気はあるのですが、目の前の現実を片付けるのに精一杯なのです……。
姉妹ネタは大好きですよ~。しかも巨大化して大暴れするなら尚更!
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