不思議の国の少女(5)-遊園地の戦い(後編)-

ノベルゲームの制作も大詰めを迎えていますが、少し生き抜きしてSSを仕上げました。遅くなってしまって申し訳ありません。本当は、二人の巨大少女に武器を持たせて遊園地内で大暴れさせるつもりでしたが、どうも絵的にイマイチだったのでボツにしました。
それはとにかく、続きをどうぞ。

……

幾ら追いかけても、兎の耳と尻尾を持つボーイッシュな少女……真夜は捕まりそうになかった。
気がつくと、戦場は遊園地の中央部から東側に移り、亜梨子は破壊された施設を足場に構えていた。
「いかないならこっちからいかせてもらうよ!」
笑いながら言い切って、身長50メートル近い巨大少女が攻撃に出た。
瓦礫がソックスとスニーカーに包まれた足によって蹴散らされたが、亜梨子は正面から受け止める。受け止めたつもりだったが、力負けしてそのまま突き飛ばされてしまった。
その先にあったのは、遊覧船も浮かぶ大きな池だったが、バランスを崩した巨大制服少女はその中に落ちてしまった。
想像を絶するような水しぶきが上がり、まるで滝のように戦場と化した遊園地に降り注ぐ。さすがの真夜もびっくりしたようだったが、いきなり飛んできた何かを簡単に弾き飛ばす。
何とそれは、遊覧船そのものだった。
「おいおい。そんなもの片手で投げるなよ」
弾き飛ばされた遊覧船が、ジェットコースターのなれの果てを巻き込んでばらばらになったのを見ながら、真夜は呆れたように言った。
しかし、亜梨子は何も言わずに水の減った池の中に立ち上がった。お洒落な制服はびしょ濡れになり、漆黒の髪からは水がしたり落ちていたが、不思議と色っぽかった。
「水も滴るいい女、だね。だったらこっちもそれなりに相手してやらないと」
亜梨子が池から上がるのに合わせて、巨大なボーイッシュ少女はとんでもない行動に出た。
まだ無事な地区を蹴散らしながら歩くと、何と自分の背丈近くはある観覧車を地面から引き抜いたからである。平然とした顔で、両手で持ってみせる。
「そんな……。それを武器にする気?」
「もちろん、いくよ!」
言い切って、真夜はさらに瓦礫を蹴散らしてダッシュした。
慌てて亜梨子は水から上がったものの、何もできないまま正面から受け止めてしまう。それだけならまだしも、巨大化した兎少女が力を込めてきたので、まだ残っていた施設を壊しながら後退してしまった。
「酷いな……。遊園地がめちゃめちゃじゃない」
「誰のせいだと思ってるのよ!」
かつては色々な遊具だったはずの瓦礫を踏みつけながら、亜梨子は自分に押しつけられていた観覧車を手で掴んだ。
びっくりする相手に構わず、力任せに振り回す。不意を突かれたのか、真夜は最大の武器を奪い取られて、その場に転がってしまった。
「今度はこっちからいくわよ!」
それを見て、亜梨子はようやく逆襲に転じた。既に原形を失っている観覧車を両手で持って、転がったままの真夜に思い切り叩きつけたからだった。
派手にゴンドラが飛び散り、大型の観覧車も力だけでねじ曲げられてしまったが、亜梨子は二度三度と叩きつけてしまう。
「これでも気が済まないわね……」
それでも、巨大な制服少女の攻撃は止まらなかった。観覧車を力任せに投げ捨てて遊園地に止めを刺すと、真夜を無理やり立ち上がらせたからだった。
「これでわたしの勝ちね! えいっ!」
真夜に反撃の余裕を与えない速攻だった。濡れた制服や髪から水滴を散らしながら、遊園地の外へと投げ飛ばしたからだった。
そこにあったのは遊園地に客を運ぶ為に整備されていた鉄道の駅と駅前広場だったが、当然の事ながら身長50メートル近い少女の巨体は受けられなかった。
ソックスとスニーカーに包まれた足が道路上の車を全て破壊し、スクラップに変える。
何もできないまましりもちをついて、広場にあったバスターミナルやバス、タクシーを短パンに包まれたヒップで潰してしまう。
上半身は駅の中央部に背中から叩きつけられて、そこにあった電車すらも2、3両巻き込んでめちゃめちゃにする。
そして、両腕は巨大な質量を伴った鞭と化して、駅のホームなどを簡単に破壊してしまった。
「凄い……。こんなに簡単に壊れるなんて」
口ではそう言いながらも、亜梨子はとてつもない破壊劇に興奮していた。
軽やかなステップで瓦礫を蹴散らしながら遊園地を出ると、横になってしまった真夜を見下ろす。
「さあ、これでわたしの勝ちね」
「もちろん。あーあ。派手にやっちゃったわね」
まるでダメージを受けていない様子で、真夜が体を起こした。背中からは電車や駅の破片が落ちてきたが、平然と自分が壊した電車の一部を持ち上げる。
「見かけによらず強いね、きみは。でも次は負けないわよ」
「負けないから。でも、巨大化して建物を破壊するのがこんなに快感だったなんて思わなかった……」
「どんな人間でも破壊衝動はあるのよ。でも、普通では出来ないから私が手助けしてあげるの」
「そうみたいね……」
生返事しながら、亜梨子は真夜の横に膝をついた。手だけでさらに駅を壊しながら、電車を持ち上げる。
「一番面白そうなのは電車壊しね。怪獣映画のお約束じゃない。これを武器にするの。こーやって」
「だから叩きつけないでよ。今回はきみの勝ちなんだから」
「正直、追いかけっこはどうでもよくなってきたわね。もっともっと建物とかを壊したいの。原形を失うまで壊して、蹂躙して、炎上させて……。挙げ句のはてに何でも武器にしてしまうの」
「いい心がけだけど、追いかけっこは続けるよ。ここまで凄い破壊衝動を持つ女の子は久しぶりだからね」
「受けて立つわよ。でも、この制服どうにかならないの? びしょ濡れだし」
「あそこでガスタンクとかが炎上してるから乾かすというのもありだけど、ここはちょっとサービス。好きな私服を思い浮かべてみて」
「うん……」
真夜の言葉に従って亜梨子が服装を思い浮かべるのと同時に。巨大化した制服少女は一瞬の内に変身した。
プリントTシャツにブルーのチェック模様のスカート、スタジャン風のジャケット、膝までの長さの黒のソックス、そして赤のコンバーススニーカー。
長い髪はうなじの当たり軽く束ねていた。
「意外と活動的なのね」
「シンプルでいいでしょう? でもこの服装なら幾らでも暴れられそう。さ、続き続き!」
「はいはい」
苦笑いしながら、真夜は立ち上がった。
そのまま破壊された駅を足場に構える。
「さあ、私を捕まえてみて。今度はうまくやる事を期待してるわ」
「もちろん!」
いきなり、真夜が鉄道の線路を壊滅させながら走り出した。私服姿になった亜梨子も、ためらい一つみせずにばらばらなった架線などを巻き上げながら追いかける。
この時点ではまだ、舞台となっている街はそれなりに原形を留めていたのだった……。

<これまでの損害報告>
壊滅した地域:街の約18%
炎上した地域:街の約 5%
半壊した地域:街の約 2%
破壊された主な施設等:住宅地の一部・マンション約10棟・ガスタンク基地・遊園地・鉄道駅・電車1編成・車多数

……
裏話を少々。亜梨子の制服を濡らしたのは着衣WET好きな作者の趣味です(笑)。この為に服装のチェンジも出来ました。私服も趣味に走っています。シンプルでカジュアルな私服が好きなのでついついこういう格好をさせてしまいます。次は巫女さん当たりでどうでしょう?(笑) 

次回の更新はおそらくノベルゲームが仕上がってからになると思います。次はイラストの更新ですが、もちろん未発表作品です。現在、5作品が手元にありますのでゆっくり更新するつもりです。
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ノベルゲーム楽しみだー
が、田舎なんでコミケは行けなない(⊃Д`)ダウンロード販売してくらはい。

ノベルゲームについて

ノベルゲームですが、巨大娘系ではありません……。「三国志大戦」のゲームです。ゲーム名は「三国志戴閃」です。今や私のライフワークみたいになっている作品です(笑)。興味がありましたら是非どうぞ。
でも、巨大娘系のゲーム作りたいな……。
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