小さな破壊神VS巨大少女怪獣(前編)

今回はガリクソン様からのリクエストに応えて、水奈&ハルカのSSをお送りします。ただ破壊するだけではちょっとつまらなかったので、今回はこんなお話にしてみました。

……
「元気出しなさいよ、水奈ったら。半分は水奈が悪いんでしょう」
「違うったら! 悪いのはハルカの方だってば!」
大学生の姉・杏奈の言葉に、妹の水奈は全力で反論した。
今日は久しぶりにシティクラッシュゲーム(CCG)のテストプレイの日だったが、そのプレイヤーである水奈の機嫌がいつもよりずっと悪かった。
「ハルカかが水奈の言ったことをぜーんぶバラしたんだから! ハルカのこと信じてたのに……」
「でも言ってはいけないことを言いまくっていたのは水奈じゃない。だから無料通話アプリは気をつけないとダメだって言ってたのに」
「ハルカは絶対バラさないと思ったのに……」
姉にそっくりな正統派美少女の水奈だったが、むくれまくっていては台無しだった。
「水奈ちゃん、今日の実験どうする? 準備は全部整ってるけど」
いつもは楽天的なスタッフAが心配そうに尋ねてくる。
「ん……。そのままやっちゃって。変更なし」
「いいのかい? 水奈ちゃんそんな気分じゃないように見えるよ」
「そんな気分じゃないからやってもらうのよ。架空の街を徹底的に壊して暴れれば少しはすっきりするんじゃない? それに……」
「それに?」
「ちょっと面白いこと思いついたからそのまま実験するわよ。水奈、準備して」

身長50メートル近くまで巨大化した水奈が、仮想空間上に作られた巨大都市に降り立ったのは、それからしばらくしてからのことだった。
「今日はやりたくないのに……」
<贅沢言わないの。この実験、準備に凄く手間がかかるんだから。ドタキャンは出来ないのよ>
耳の中の超小型イヤホンから姉が注意する。それがまた面白くなかったこともあり、水奈は足元の車数台スニーカーの先で思い切り蹴飛ばして破壊する。
Tシャツにデニムスカート、羽織っただけのシャツというシンプルな私服姿のままだったが、巨大化しているのでやりたい放題だった。
「……やればいいんでしょう? やれば」
<そういうこと♪ どーしても今回のテストは必要なのよね。オプションを追加してるし>
「オプション?」
<ま、それはすぐに分かるわ。とにかくいつもみたいに好き勝手に暴れて。その街ぜーんぶめちゃめちゃにしていいから>
それで姉からの通信は終わったが、水奈は辺りを見回して小さく溜息をついた。
今立っているのは中心部に近い鉄道の駅の前だった。新幹線も通っている大型の高架駅で、ロータリーには高架の歩道橋も渡されていたが、水奈にはただのおもちゃにしか見えなかった。
もう、お姉ちゃんったら。いっつもこーなんだから!
親友と姉への怒りが、破壊衝動に転じるまでほんの一瞬だった。ぐっと唇を結んだ巨大少女は後先考えずに駅前のロータリーを蹂躙し始めたからだった。巨大なスニーカーが凶器と化して車やバス、歩道橋をまとめて破壊していく。道路は踏み抜かれて足跡だらけになり、バスターミナルはバスごと破壊され、一部の車両が爆発して黒煙を吹き上げ始める。
それでも水奈は止まったりしなかった。ロータリーなどを破壊すると今度は目の前のビルに容赦ないキックを浴びせたからだった。スニーカーの先がめり込んで建物を貫通し、そこから建物は崩壊していく。
「いつものことだけど簡単に壊れるわね……」
数十棟のビルを瓦礫に変えて、水奈は少しだけ気分が晴れるのを感じていた。この架空世界にいる限り、自分は無敵そのものだった。
<いい調子ね。そのまま高架駅も壊してしまいなさいよ。怪獣みたいにめちゃめちゃにね♪>
「もちろん!」
水奈の口元に笑みが浮かんだ。ようやく吹っ切れたのだろう。いつもの調子を取り戻した巨大化少女は躊躇い一つ見せずに大型の駅へと襲いかかっていった。
最初に、駅の上に立つビルを思い切り殴りつける。それだけで階層がむき出しになったのを見ると、華奢な肩でショルダータックルを食らわせる。巨大化した水奈の全体重を受け止めて駅ビルは簡単に崩壊して、駅の反対側も瓦礫に変える。そこに水奈はスニーカーに包まれた足を入れると、笑いながら歩き始めてしまった。足元ではホームや電車がまとめて潰され、原型を失っていったが、水奈は壊れた部分に両手をかけてそのまま引きちぎってしまった。
「えいっ!」
気合とともにまだ無傷の部分に叩きつけてさらに破壊すると、蹴飛ばして思い切り踏み潰す。ありとあらゆる建造物や電車が破壊される轟音が響き渡ったが、気持ちよくて仕方なかった。
「あ、電車あるじゃない♪ これで遊ぼうっと」
高架駅の中心部をほぼ壊滅させて、水奈は新たな獲物を見つけた。無造作に瓦礫の上に膝をつくと、既に半分の車両が破壊された電車を掴み上げたからである。
「電車はね……こーやって壊してしまうの!」
独り言のようにつぶやきながら、簡単に握り潰す。ただのスクラップになったのを確かめると投げ捨てて、別の車両はまだ壊していない建物に投げつけてまとめて破壊してしまった。
一通り電車で遊んでから、水奈は瓦礫を落としながら立ち上がった。周囲を見回して自分の破壊力を確かめると、それこそ調子に乗って暴れ始める。
高架駅の残りの部分を手足を使って完全に破壊する。
駅前にあった大型デパートやファッションビルをまとめて薙ぎ倒し、瓦礫を踏み潰してポーズを決める。
大通りの車を全て破壊しながらスライディングを敢行する。
こうして、可愛らしい顔をした巨大美少女の手によって、巨大都市の一部は完全に壊滅した。
<相変わらず水奈は派手に暴れるわね~>
瓦礫とスクラップを踏みつけながら大通りで休息していると、イヤホン越しに姉が話しかけてきた。
「当然じゃない。水奈は<小さな破壊の女神>だもん」
<そうよね。だったら<巨大少女怪獣>の相手をしてもらうわよ。小さな破壊の女神さん>
水奈が驚く間もなかった。
無傷だった車を盛大に踏み潰しながら、親友のハルカが巨大化した状態で大通りに降り立った。

「ハルカ……」
「わたしもテストに付き合うわよ。杏奈お姉ちゃんから誘われたの。久しぶりにいいでしょう?」
<中途参加機能、問題ないみたいね。今度から途中からでもプレイに参加できるようになったのよ>
「お姉ちゃん、早く言ってよ」
<言ったら水奈はテストに参加しないでしょう?>
姉の言葉に、妹は何も言わずに俯いた。まさにその通りだった。
<さあ、仲直りしなさい。意地を張ってもいいことなんて無いんだから>
「そういうこと。さ、いつものように遊ばない?」
ハルカが無造作に歩いてくる。長めのソックスとスニーカーに包まれた足が次々に車を壊し、アスファルトを陥没させていたが、慣れているので気にしたりしない。
しかし、水奈は……。
「嫌っ!」
激情が心を満たすのと同時に、水奈は近づいてきたハルカを思い切り突き飛ばした。不意を突かれて、巨大化したポニーテール少女は大通りの上に簡単にしりもちをつく。
「絶対に許さないんだから! ハルカばっかりいい子ぶってずるい! ハルカだって悪いのに!」
<水奈……>
「だいたいぜーんぶハルカが悪いんだから!」
最早水奈を止めることはできなかった。一時的にしろ、理性のタガが外れた巨大少女は、長い髪をふわりと翻しながらハルカへと飛びかかっていったからである。両手で相手の全身を掴むと、巨大化しているのもお構いなしに転がる。その先にあったのは低層の住宅が立ち並ぶ地区だったが、水奈とハルカの巨体によって簡単に破壊されて瓦礫となっていく。
「ち、ちょっと水奈……」
仮想空間上にいる為、痛みは感じなかったが、さすがにハルカは慌てていた。いつもは大人しい水奈とは思えない暴走ぶりだった。
「許さないんだから! えいっ!」
何にもできないまま、ハルカが投げ飛ばされた。受け身すら取れないままパーカーに包まれた背中でマンションの中央部を崩壊させ、伸びた手足も他の建物を巻き込む。巨大化しているため、被害は甚大そのものだった。
「水奈! わたしの話も聞いて!」
「嫌! えいっ!」
ハルカの言葉を無視して、水奈は攻撃を続けた。近くにあったビルを土台ごとを引き抜くと、親友目かげて投げつけたからだった。さすがにハルカは両手で庇ったので、建物はバラバラになり、周囲を破壊するだけで終わる。ハルカのパーカーやミニスカートにも破片が派手に降り注ぎ、少女の心を熱くしていく。
「水奈……」
「巨大少女怪獣ハルカ。退治してあげる!」
言い切るのと同時に、水奈は羽織っただけのシャツを翻しながら飛びかかってきた。後先考えていない攻撃だったが、さすがにハルカは避ける。
「本気なの?」
「本気に決まってるじゃない!」
誤爆した水奈は、ハルカが壊したマンションの隣りにあったビルをその巨体で破壊していた。髪を後ろにやり、まとわりつく瓦礫や建物の残骸を振り落として構える。それを見てハルカも破片などを落としながら立ち上がる。
Tシャツにジーンズスカート、シャツ姿の清楚な巨大少女と、白いパーカーにミニスカート姿でポニーテールがよく似合う活発な巨大少女が瓦礫の上で向かい合う。
「いくわよ!」
水奈の宣言と共に、破壊神と怪獣の二つ名を持つ巨大化少女たちの戦いは始まった。

……
というわけで、水奈とハルカの巨大化したままの大喧嘩が始まってしまいました。これで街は壊滅してしまいますね。

次の更新は来週、イラストの更新を予定しています。
スポンサーサイト

7周年!

おかげさまで、このブログもついに開設から7周年を迎えることができました。毎年言っていますが、全てはこのブログを見に来てくださる皆様のお陰です。これからも続けていきますのでご愛顧をお願いします。
というわけで、今回はイラストの更新です。

街破壊巨大少女幻想111

注意事項。イラストの著作権は作者様に所属します。無断転載は厳禁です。
Warming! Reprint without permission prohibition!

OMC経由で依頼したイラストで、作者はちはなえ様です。久しぶりに依頼して、今回は着物姿の巨大少女を描いてもらいました。たまには素足での大破壊もいいですよね~。
ちなみにモデルは某少女吸血姫です。25年以上前に出たOVA版で好きになって今でも好きなキャラですが、ご存じの方もいらっしゃいますよね?(テレビアニメ版の方が有名かな?)

次回の更新は翌週または翌々週の予定です。ガリクソン様からのリクエストに応えてハルカ&水菜コンビの大暴れのSSを掲載します。その次は……色々申し訳なかったので契音様のリクエストに応えます。

宣伝。
ホームページの方で「反逆の従者―箱庭世界の巨大少女剣士―」の連載を再開しました。箱庭世界の中での話ですが、巨大化した少女たちの大破壊バトルが何度も繰り広げられる小説です。この機会に是非どうぞ!

ホームページ「木蘭優駿」
プロフィール

小笠原智広

Author:小笠原智広
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード