続・過去からの挑戦者(3)

お久しぶりです。あれやこれやで更新が滞っていました(主に冬コミの準備のせい)。とりあえず時間を作って仕上げましたのでアップします。時間を置くと意外と描く気になるものですね。一気に書き上げました。

……
「お姉ちゃんったら何をしてるの……」
第一報を受けて、現場に駆けつけた由衣の第一声はそれだった。取るもとりあえず中学校の制服……ブレザー制服のまま来たものの、すでに街の半分近くが壊滅している始末だった。
「ラクロスのユニフォームを着てるのは三佳さんだったかな? 確かお姉ちゃんの同級生だったはず。そっちは分かるけどお姉ちゃんまで大暴れしてるなんて」
本来ならば三佳を止めるべき立場の姉が暴走しているのが最大の問題だった。今も妹の目の前で、駅前付近を蹂躙しようとしていた。
「……。止めなくちゃ。このまままだとあたしが壊す分が無くなっちゃう!」
なんとも酷い本音を漏らしてから、由衣はいつものように巨大化した。デザイナーズブランドの制服に包まれた姿で三十倍サイズになり大通りに足場を作る。足元の車などはついでに踏み潰していたがもちろん気にしていない。
「お姉ちゃんストップストップ! 戦いながら壊すのはいいけど勝手に壊すのは少し遠慮しないと駄目!」
セーラー服姿のままで巨大化した舞が駅前広場に足を踏み入れようとしていることに気づいて、由衣は後先考えずに突進した。道路上の車は全て蹴散らし、電線なども断ち切ったまま後ろから姉に組みつく。
「もう、何をしてるのよ! いつもはもう少し遠慮しないと駄目なんて言ってるくせに……きゃっ!」
突然、手加減なしに投げ飛ばされて、由衣はろくにな受け身をも取れないまま転がった。駅前通りに面していた建物がまとめて巻き込まれ、瓦礫が周囲に散乱する。ブレザー制服に包まれた背中は建物を直撃して、窓カラスを粉々に砕く。
「お姉ちゃん……。痛いじゃない!」
姉の反撃は、妹の心に火をつけただけだった。さらに周囲の建物を破壊しながら立ち上がると、大きな瓦礫を両手で持ち上げる。
「ケンカなら負けないんだから! えいっ!」
そう言い放ちながら瓦礫を舞の背中目掛けて投げつける。避けもしなかったので簡単に命中し、かつてビルだった瓦礫は粉々になる。
「そっちがその気ならあたしも本気でいくから! もっともっと……」
ポニーテールにした髪を揺らしながら、舞が振り向いた。その瞳にはいつもと違う光が浮かんでいた。
「お姉ちゃん……。あ、ち、ちょっと待って!」
本能的に危険を悟った時には手遅れだった。俊敏な動きで舞が組み付いてきたかと思うと、そのまま由衣の巨体を交差点の真上に座り込ませてしまったからだった。チェックのスカートの下で歩道橋が潰れ、巻き込まれた車が複数爆発して火柱と黒煙を盛大を吹き上げる。それでも姉は妹を組み伏せようとするので、再び背中でビルなどを壊す羽目になってしまう。
「いつもより力が強い……? どうなってるの?」
パンプスとソックスに包まれた両足でさらに建物をまとめて壊しながら、由衣は戸惑っていた。姉はいつもとは別人にしか見えなかったが、原因は思いつかなかった。
とにかく、お姉ちゃんを何とかしないと……。このままだと街が壊滅して遊ぶことも出来なくなっちゃう。
そんな事を考えている内に、由衣は無理やり身体を起こされていた。抵抗する方法を見つけられずにいる内に、駅前に展開する大型の商店街目掛けて突き飛ばされる。アーケードも持つ立派な施設だったが、ブレザー制服姿の巨大少女を受け止めることは不可能だった。
少女の全体重を受け止めてアーケードは無残に崩落し、建物は巻き込まれて全て瓦礫になる。とっさに伸ばした手足はさらに小さな店などを破壊し、一部を炎上させる。
「ひっどーい、めちゃめちゃにしちゃった……。ここよく買い物に来るのに。お気に入りの店も壊しちゃった」
瓦礫の上に座り込んで、由衣はちょっとだけ後悔していた。
「……でも、こうやって壊すのも楽しい♪ なんかイケないことをしてる気分になるし」
そう言いながらわざと転がる。さらに建物が壊れていく音がして、由衣はスカートの下で何かが疼くのを感じる。
いつものことだけど壊すのは楽しい♪ この制服姿で暴れられるのが最高! ……って、それどころじゃなかった。
何かに取り憑かれたような目をした姉が、無造作に半壊したアーケードを壊しながら向かってくるのが見えて、由衣は慌てて逃げ出した。何とか立ち上がり、盛大に建物を破壊しながら駅の方へと逃げる。舞の手が伸びてきたが、何とか振りほどいて駅前広場で立ち止まる。
「いいざまね。姉に狙われるのはどんな気分?」
「三佳……さん?」
声をかけてきたのは、別の場所で勝手に暴れていたはずの三佳だった。鉄道の高架線を挟んで反対側に立っていたが、その背後は既に壊滅状態だった。タワーマンションは中央からへし折られ、ビルなどが立ち並んでいた地区は原型を失ってただの瓦礫と化している。その上、一部は盛大に炎上して黒煙を吹き上げていた。
「この前は散々な目にあわせてくれたわね。今回はそうもいかないわよ。なんたって舞はこっちの操り人形なんだから」
「操り人形……あっ!」
姉から注意が逸れていることを思い出した時には手遅れだった。両肩を掴まれて、そのまま背後にあった高架駅に押し付けられたからだった。制服に包まれた巨体の下で、瀟洒な建物は簡単に破壊されていき、ホームなどもむき出しになる。
「姉妹と言っても力の差は大きいわね。勝てるかしら?」
「お姉ちゃんなんかに……負けたりしない!」
「強がってるけど、何も出来ないじゃない。いいざまね。さて、私はこの駅を壊してしまうわよ♪」
既に街の半分を壊滅させても物足りなかったこともあり、ラクロスのユニフォーム姿のまま巨大化した三佳はすぐに大暴れを再開した。まずは建物に思い切り蹴りを食らわせる。それだけで一部がむき出しになったのを確かめると、今度は両手を突っ込んでむしり取ってしまった。
「あ、電車があるじゃない。これで遊んでみたら面白そう」
平然と言いながら、一部が破壊された電車を掴み上げる。しばらく興味深そうに眺めていたが、由衣が抵抗むなしく舞に押し倒されたを見ると、加担してその上に叩きつける。
「どう? 電車で叩かれる気分は? いつもそうやって遊んでるんでしょう?」
「遊んでなんかいない……わよ。こっちは一応正義の味方なんだから」
「街を壊して遊ぶのが好きな正義の味方の間違いでしょう? いいざまね。ブレザー制服のままで巨大化したのに駅を壊しながら横になってるんだから」
「あたしは……負けたりしない!」
「強がりもいつまでもつかしら? 舞、もっと好きにしていいわよ」
操られたままの舞は、三佳の命令に忠実だった。駅の瓦礫の上に転がったままの妹目掛けてフライングボディプレスを食らわせると、そのまま組み伏せて転がってしまったからだった。
姉妹の制服のスカートが派手に翻り、それに合わせて高架線の駅がめちゃめちゃに破壊されていく。電車がまとめて落下し、制服に押し潰されてスクラップと化す。
「いい絵ね。制服姿のまま巨大化した姉妹が派手に建物とかを壊しながらレズってるんだから♪ このままぜーんぶ壊してもいいから」
由衣の反撃も封じて、三佳はすっかり上機嫌だった。このまま制服巨大姉妹のレズ行為で街を壊滅させてしまうも楽しいかもしれない。そんなことまで考えていた。
一方、由衣の方は舞の圧力に完全に屈していた。豊かで弾力がある胸をフラットな自分の胸に押し付けられるのも癪だったが、何よりも何もできないのが嫌でたまらなかった。
とにかくお姉ちゃんを元に戻さないと……。あたし一人じゃ勝てるわけない。でもどうやって……。
気がつくと、姉の顔が目の前にあった。同じ血を分けた姉妹なのに似ていないと評判の姉の顔。可愛らしくてポニーテールがよく似合うと性別を問わずに評判の姉の顔。
やっぱりお姉ちゃんって可愛い……。あたしなんか男の子みたいって言われてばかりなのに。でも、あたしが本当に男の子だったらお姉ちゃんに惚れてるかな……。
不思議な感情がこみ上げてくる。姉をこういう目で見たのは初めてだった。
あ、いいこと思いついた。どうせお姉ちゃんは操られてるんだし、試しにやってみるのもいいかも。上手くいけば……。
思うのと行動が同時だった。
軽く顔を上げて、由衣は姉の唇に自分の唇を重ねた。

……
このSSは次回で完結します。年内で終わりにしたいですが、出来るかどうか……。

次回の更新は来週、イラストを更新します。まだまだ在庫はありますのでお楽しみに!(けっこういいイラストを描いてもらえましたw)
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