巫女さんのお掃除作戦

はい、今週も更新です。いつになく間が詰まっていますが、特に問題はありませんのでご安心を。5月はやはり更新している余裕が無さそうですし。

街破壊巨大少女幻想57

注意事項。イラストの著作権は作者様に所属します。無断転載は厳禁です。
Warming! Reprint without permission prohibition!

OMC経由で依頼したイラストで、作者はさくら汐様です。
今回2回目の登場となりますが、相変わらず迫力満点で素晴らしいです。瓦礫と少女たちの対比も見事です。やっぱり巨大な巫女さんの場合は街をお掃除する役目がよく似合います。隣にいる制服姿の少女は友人ですが、彼女も手伝っています。ものの見事に原型すら残っていませんが……。

次回の更新はおそらくGW終盤の更新になると思いますが、「反逆の従者」の後編です。3回構成なのにいつもよりずっと長くなっていますが、次で完結させます。その後は夏コミに合わせてじっくりと書きたいと思います。二次創作も面白いですが、オリジナルも同じぐらい面白いんですよね。創作が趣味で良かったと思う瞬間です(最初は小説しか書けなかったのに今はイラストも何とかなるようになりましたし。人間、好きなことならば意外となんとかなるものです)。創作が趣味でなかったら今頃どうなっていたか……考えるとぞっとします。引きこもりになった可能性も十分にありますからね。性格を考えると。

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5/5(日)、東京ビックサイトで開かれるコミティア104に参加します。今回は新刊1冊の無料配布しかできないので寂しい限りですが、直接参加しますのでお気軽にスペースにお寄り下さい。そういえば、今回のコミティアでは巨大娘系の新刊を出す方がいらっしゃるとかで、それも楽しみにしています(笑)。

サークル名「木蘭優駿」 スペースNO.ま-45a

どうかよろしくお願いします!
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反逆の従者-箱庭世界の巨大剣闘士-(2)

先週更新したばかりですが、今週は「反逆の従者」第2話をアップします。少しずつ描いたり(書いたり)して何とかまとめました。まずは先週触れたように、薫の主人(マスター)であり、吸血鬼である烏丸黒羽のイラストとプロフィールを公表します。

街破壊巨大少女幻想56

-死を呼ぶ黒き蝶-
烏丸黒羽(からすま・くろは)
能力:箱庭を操る程度の能力
危険度:極高
人間友好度:極低

日本土着の吸血鬼の中でも名門といわれる烏丸家の現当主。一見すると黒髪の令嬢であるが、人間を「餌」程度にしか思っていないので非常に危険である。彼女が相手にする人間は自ら血を吸って半分吸血鬼に仕立てた者(闇の眷属と呼ばれる)のみ。彼らは黒羽の命令に従い、烏丸家の資産を運用したり身の回りの世話をしている。
実力は「東方」で言うならば6ボス級、レミリア・スカーレットとほぼ互角と言われている。得意の戦法は自ら操る「箱庭」世界に相手を引き込み、叩きのめすこと。最近、その能力を生かして新たなゲームを開発し、楽しんでいるらしい。
近習に仕えるメイドは藤間薫。ゲームでは「巨大剣闘士」となり、黒羽の為に戦う。彼女については元吸血鬼ハンターという噂もあるが、真偽は不明である。


こんなところです。ちなみにここだけの話、黒羽は異世界の吸血鬼姉妹であるミアキス・ロッテ&リオンとは知り合い同士で、ロッテとは仲のいい友人同士です。この設定はいずれ意味を持ってきます(笑)。
それでは、物語をどうぞ。

……
最初に仕掛けたのは、黒羽の方だった。
下ろしただけの黒髪を大きく翻し、やや体を低くして突進してくる。足元の道路は陥没して大穴が空き、巻き込まれた車が爆発したりスクラップになったが、薫は冷静さを取り戻していた。
疾い……。でもこれなら勝てる!
刀の柄に手をかけると、全神経を集中させる。襲い掛かってくる瞬間を狙って、対吸血鬼用に鍛えられた刀を抜き払って斬りつければさすがの黒羽でも無事では済まない。そう読みきった。
あと一完歩まで迫った瞬間。
黒羽が右に変化した。立ち並ぶビルをブーツの底で蹴りつけて壊すと、そこを足場に斜め前から飛びかかってくる。
しかし、それすらも薫は読んでいた。
「はっ!」
裂帛の気合と共に、刀が鞘から抜かれた。人間とは思えない程の疾さで、黒羽の巨体を横薙ぎに払う。手応えを感じて、薫はわずかに笑みを浮かべたが……。
余裕はすぐに焦りに転じた。
腹部を両断されたはずの黒羽の姿が視野から消えたかと思うと、その後ろに崩壊してゆくデパートが見えたからだった。しかも、ナイフを入れたケーキのように真横に両断されて。
「えっ……まさか……」
自分の刀がよく行っていた駅前のデパートを両断したと気づいた途端、今までの何倍もの罪悪感が襲ってきた。慌てて刀を収めたものの、建物はすぐ横の商店街のアーケードを押し潰して派手に埃を巻き上げる。どう考えてもかなりの被害だった。
「そんな……」
その時、薫は吸血鬼ハンターではなく、ただの高校生に戻っていた。周囲を全く警戒するわけでもなくただ呆然としていたが……。
「甘いわね!」
上から黒羽の声が聞こえた瞬間、ようやく自覚が戻った。気配を感じて、多少の被害は覚悟の上で前に転がって逃れようとしたが、無駄な努力に終わった。
「くっ……」
背骨が折れるかのような痛撃が、30倍サイズに巨大化した身体を襲った。幻影を残して宙に舞った黒羽が降下しながら、得意のキックを放ったのだった。まったく受け身も取れず、薫は自分が壊したデパートを抱きかかえるようにして倒れ、思い切り転がる。
綺麗な衣装に包まれた全身がデパートの周囲に立ち並ぶ建物をまとめて薙ぎ払い、駅前の商業地区を半壊状態に追い込む。すらりとした足は大通りに投げ出され、車をまとめて破壊する。
「あーあ。めちゃめちゃにしてるわね。あんたが住んでる街なのに自分で壊してしまうなんて」
わざわざ壊していない地区に着地して、黒羽は愉悦に満ちた笑みを浮かべた。
「そんなあんたには少しお仕置きが必要なようね。こーやって!」
足元の建物をブーツに包まれた足で壊しながら、黒羽は目についた建物……電話局に襲いかかった。簡単に建物を破壊すると、屋上にあった大型のアンテナを両手で引き抜いて両手で持つ。
「さあ、私に逆らったことを後悔しなさい! たかが人間の分際で!」
その宣言を、薫はぼんやりとした意識の中で聞いた。蹴られた背中が恐ろしく痛む。骨が折れたのではないかと危惧したが、全身に力を込めるとなんとか身体を起こすことができた。
駄目……。このままでは。駅前が、もうめちゃめちゃ……。もし現実とリンクしてたら今頃どうなってるか……。
優秀な吸血鬼ハンターだった妹の響が負けた理由がはっきりと分かったような気がした。もし、同じ罠に落ちたら……。
不意に、肩に強い痛みを感じた。目の前に白と赤の棒が複数飛び散り、瓦礫の上に落ちていく。
「そんなにお仕置きされたいの? 嬉しいわね。あんたは顔が可愛いから苛めがいがあるわ!」
一撃は、黒羽が振り下ろした電話局の鉄塔によるものだった。飛び散ったのが鉄塔を構成していた鉄骨だと理解した途端、自分が巨大化していることを改めて認識する。
再び振り下ろされた鉄塔を、薫は後先考えない前転で回避した。無傷だった建物が巻き込まれて崩壊していったが、構っていられなかった。駅前を犠牲にしてでも黒羽を仕留めよう。そう決意したからだった。
「とうとう自分で建物を壊し始めたわね。楽しいでしょう? 無敵の怪獣みたいで」
「そんなわけ……ないっ!」
ようやく背中の痛みがひいてきた。しかし、薫はそれを相手に悟られぬようにしながら、ゆっくりと立ち上がる。ブーツに包まれた足でかつてはビルだった部分を踏みつけて身構える。
「その瞳……いいわね。諦めを知らない愚か者の瞳。とっても好きよ、そういうのは!」
原型を失いつつある鉄塔を両手で持って、黒羽が襲いかかってきた。また変化があると思った薫だったが、正面から狙ってきたこともあって見切ることができた。
振り下ろされた鉄塔を、左腕でガードしながら、がら空きになった腹部に膝蹴りを叩き込む。巨大吸血鬼が驚いた表情を浮かべたのを見逃さず、すかさず右手で鉄塔を掴む。
「あっ!」
「これさえ奪ってしまえば勝ち!」
隙を突かれたのか、黒羽は簡単に鉄塔を奪われてしまった。二人の身長の半分近くはある鉄骨製の塔は、吸血鬼ハンターの少女の手に渡り、今度は吸血鬼に対する武器となる。
最初に、横から顔を殴りつける。派手に鉄骨が散らばり、塔の大きさが半分になったが、薫はここぞとばかりにブラウスに包まれたみぞおち付近に塔の残りを突き刺した。瀟洒なブラウスが破れ、皮膚に浅い傷が生じる。
「よくも……餌の分際で!」
黒羽の色白な肌が、屈辱で赤く染まった。プライドの塊である吸血鬼は些細でも傷付けられると我を失うことがある。そうなると、力は強くても攻撃パターンは単調になる。
薫の狙いは見事に当たった。
一度距離を取り直した黒羽だったが、今度は正面から狙ってきたからだった。それに対して薫は、塔の残りを投げ捨てると、蹴りからのコンビネーションで反撃した。刀は帯に差していたが、下手に抜くと冷静さを取り戻させる危険があった。
その狙いは、当たった。
薫のキックやパンチを受け止めて、黒羽はよろけるようにまだ無事だった駅の方へと後退していったからだった。通りの車は巻き込まれて潰れていったが、薫もまた建物を破壊しながら追い打ちをかける。相手の構えにわずかな隙を見つけると、相撲のように姿勢を低くしたタックルをぶちかましたからだった。
「うっ……!」
ダメージが確実に浸透しているのを、薫は黒羽の表情で悟った。それでも駅前のロータリーや建物を全て巻き込みながら、少しずつダメージを食らわせていく。それでも相手が怯まないのを見ると、一気に間合いを詰めて右足を取る。
「あっ……!」
「吸血鬼のくせにいい下着を身に着けてるわね」
「ば、馬鹿にした……あっ!」
吸血鬼ハンターにスカートの奥まで見られる形となって、黒羽の理性は半分吹き飛んだようだった。まるで子供のように身体をよじりながら薫から逃れようとしたが、無駄な努力に終わった。そのまま、背中から駅に叩きつけられたからだった。停まっていた列車がまとめて破壊され、建物自体も駅ビルを巻き込んで崩壊していく。それでも薫は邪魔な建物を蹴りだけで壊しながら、足を踏み入れる。
そこからは薫の独壇場だった。
壊された電車を鞭のように振り回して叩きつける。
駅ビルの一部を引きぬいてぶつける。
挙げ句の果てには、崩壊した駅の反対側目掛けて思い切り投げ飛ばし、ビルに背中から叩きつけるとすかさず豪快なタックルを食らわせて周囲の建物ごと壊滅させる。
「これで少しは懲りたかしら? さすがの吸血鬼も参ったようね」
破壊したばかりの建物を足場に、薫は笑って言い切った。これで黒羽を倒せば、妹の響は眠りから覚めるはずだった。
「でも思ったより派手に壊してしまったわね。面白かった……ってそれどころじゃない!」
一瞬、心の奥に隠しておいた本音が漏れてしまったので、薫は慌てて止めを刺す準備に入った。黒羽が大型ビルに磔になっている内に倒してしおうと思ったのだが……。
帯に差していたはずの刀は無かった。
「えっ……」
「愚かね。本当に、どうにもならない程愚かな生き物ね!」
黒羽の口元に笑みが浮かんだ。自分の背丈より大きなビルから背中を引き抜き、そのまま崩壊させながら無防備な薫の胸ぐらを掴む。
「この私が、烏丸家の当主でもある私が隙を見せると思ったのかしら? だとしたらおめでたくて涙が出るわ」
「ま、まさか……」
「絶望は、一度浮かれてからの方が何倍も深いのよ。しかも、命の次に大事な武器をどこにやっちゃったとなるとさらに増幅されるわね。吸血鬼ハンターの藤間薫さん!」
「……」
「ついでに言うと、あんたの破壊ぶりも堪能させてもらったわ。おとなしい顔をしてえげつないのね。どう見ても街を壊したくて仕方ないようにしか見えなかったわ」
「ち、違うわ。わたしは……」
「あら、いいのよ。あんたみたいな清楚で綺麗な顔をした少女が怪獣になるなんて夢の様な光景だったんだから。だから……」
黒羽の顔に、無邪気としか表現の仕様がない笑みが浮かんだ。しかし、瞳の奥にはまったく光は浮かんでいなかった。
「絶対に殺したりしないから!」
胸ぐらをつかんだ右腕に力を込めただけで、薫は無傷の地区を盛大に破壊しながら投げ飛ばされた。意識が遠くなりかけたが、何とかつなぎ留める。
そんな……。武器なしで勝てる相手じゃないのに……。それに、殺さないっていったい……。
綺麗な衣装の下で盛大に建物を壊しながら、薫は物のように転がっていた。余裕からか、黒羽は第二撃を仕掛けてくる様子はない。
しかも、わたしが街を破壊するのを<楽しんでいた>のまで見抜かれるなんて……。でも、どうしても衝動を止められなかった。もし、ここが本当に箱庭の世界だとすれば幾ら暴れても問題ないはずだから。……こうなったら……。
決意を固めるのと同時に、痛みが弱くなったのを感じた。吸血鬼ハンターはたとえ刺し違えてでも相手を倒さなくてはならない。妹の為にも、遠慮はしていられなかった。
しかし、その決意に邪なものが混じりつつあることに、薫自身気づいていなかったのだった。


……

次週は来週更新予定で、イラストの更新です。更新間隔が短いですが、5月は色々とあるので少し長めに休ませてもらうからです。「反逆の従者」完結編はGWに掲載予定です(あ、さすがにイラストはありません。あしからず)。
ちなみに新しいイラストの発注もしていますので、ご安心下さい!

破壊力満点!

今週はイラストの更新です。たまにはこんな雰囲気のイラストはどうでしょう?

街破壊巨大少女幻想55

注意事項。イラストの著作権は作者様に所属します。無断転載は厳禁です。
Warming! Reprint without permission prohibition!

OMC経由で依頼したイラストで、作者はSakuranez様です。
今回は厚塗り風ですが、なんか凄い迫力があります。ふだん着姿(ここだけの話、武井咲がとあるテレビ番組に出た時の私服がヒント(笑))のまま巨大化した女の子が派手に暴れまくっています。こういう普通の女の子が怪獣みたいに暴れるというシチュエーションにぐっとくるのは私だけでしょうか? まあ、私は着衣フェチでもあるのでこういうのが好みというのもありますが。これからも服装とシチュエーションにはこだわりたいです。

次回の更新は……早いですが来週前後の予定です。実は来月、すぐ近くに引っ越す上にイベント参加もあるので少しでも早く完結させたいというのもあります。まあ、あの物語には私自身もノリノリというのが一番の理由ですが。あ、間に合えば次の更新には吸血鬼の少女・烏丸黒羽のイラストも公開したいと思います(もちろん巨大化版です)。キャデザは終わっているので頑張って描いてみたいと思います。描くことが一番の練習ですからね。

反逆の従者-箱庭世界の巨大剣闘士-(1)

今回はリクエスト編です。
神風様から「吸血鬼ハンター」の物語を書いて欲しいというリクエストがありましたので、書いて(描いて)みました。が……。ある意味嬉しい誤算だったのですが、かなーり長い話になりました。詳細はこの下に書きますが、「箱庭世界の巨大剣闘士」はこれだけでは終わりません。今回は導入編のようなものです。よって、今回のパートの前半はこの物語の背景説明が中心になっています。さらに、再びキャラデザまでしてしまいました。途中に入っているイラストは私が描いたものです。つたない出来ではありますが、ご容赦下さい。
では、吸血鬼ハンターと吸血鬼の物語をお楽しみ下さい!


……

ゆっくりと降下するエレベーターに乗っているかのような浮遊感が消えた。
同時に黒茶色のブーツに包まれた足が道路やその周囲にあった小さな建物を踏み潰し、砂塵を巻き上げる。それでも、藤間薫(ふじま・かおる)は眉一つ動かさずにミニスカートから伸びる足を広げ、さらに周囲の建物を破壊する。
「ここが今日の舞台なのね。相変わらず、悪趣味なまでに立派ね」
右手に持った黒鞘の刀を握り直して、薫はつぶやいた。
身長47.1メートルにまで巨大化した少女の目の前に広がっているのは、南関東地方のとある都市だった。ビルの立ち並ぶ駅前や中心街、そして小さな路地一つに至るまで正確に再現されていたが、人影はまったく見えない。
怪獣のように巨大化した少女に恐れをなして逃げたわけではなかった。この都市は、<箱庭>世界上に再現された架空の町並みだったからだった。
<それでも褒めてるつもり? 皮肉にしか聞こえないわね>
綺麗なソプラノで文句を奏でたのは、薫の<主人(マスター)>であり<箱庭>使いでもある烏丸黒羽(からすま・くろは)だった。例によってテーブルの上に箱庭を置いて様子を見ているのだろうか。薫が思ったよりも反応は早かった。
「今のが皮肉に聞こえるならば手遅れにならない内に耳鼻科の受診をお勧めします、黒羽様」
<口だけは一人前なのね。今のあんたは私の従者。元吸血鬼ハンターなのに吸血鬼の奴隷になった哀れな存在じゃない>
……まだ決まったわけじゃない。
血が滲みそうになる程強く唇を噛み締めて、巨大化した薫は言葉の暴力に耐えた。リボンで隠したうなじに左手をやりかけて、すぐに止める。
黒羽に敗れて吸血鬼の従者にされた時、そこに彫られた護符が力を発揮して、完全に闇の眷属となるのを阻止してくれた。もし無かったら、今頃文字通り奴隷となっていたことだろう。
<でも、奴隷としては上等な部類ね。メイドとしてよく働くし、なにより私専属の剣闘士(グラディアトル)として戦ってくれるんだから。今日も楽しませてほしいわね>
「お任せ下さい、ご主人様(マスター)」
空いている左手を小ぶりな胸に添えて、薫は心の底から言い切った。
今の自分は元吸血鬼ハンターのメイドではなく、箱庭世界で戦う巨大剣闘士。
そう思うだけで、心が熱くなる。
今日も勝ってみせる。勝てば勝つほど、黒羽様はわたしを手放せなくなる。そして、距離を詰めきった時再び……。
<その姿で巨大化して街の中に立っていると思い出すわね。初めてあんたを箱庭世界に招待した時のことを。楽しかったわね、滅茶苦茶慌てるんだから>
「初めてですから当然です。こんなに巨大化して、しかも怪獣みたいに盛大に町を破壊しながら戦うなんて、想像つきませんでした」
<それが今では立派な巨大剣闘士(グラディアトル)なんだから、面白いわね。とにかく、今日も勝ちなさい。しかも、美しく完全にその街を破壊すること>
「了解しています」
この命令を受け入れるのは簡単なことだった。いつも通りにやればいいだけなのだ。目の前の街を破壊するのに理屈も、躊躇いも必要ない。
でも、わたしには本当の目的がある。それを忘れないようにしないと……。
刀を持った右手を上げて、準備完了という合図を黒羽に送る。
あと数分もすれば目の前に広がる大都市は壮絶な戦場と化し、1時間後にはただの瓦礫の山になっているだろう。
それでも、薫の心は高揚していくばかりだった……。

街破壊巨大少女幻想54

薫は代々吸血鬼を狩ってきた一族の血を引いて生まれた。
もちろん、その存在は世の中からは隠されているため、表向きはごく普通の少女として学校にも通い続けていた。吸血鬼を狩る能力は狩る相手を目の前にしないと役に立たない事もあって、<正体>を隠すことは難しくなかった。
しかし、いくら血脈といえど向き不向きはあった。
薫はあまり優秀なハンターではなかった。小物相手ならばとにかく、大物を狩るとなると、名ばかりの後方支援担当に回されてばかりだった。
それでも問題が無かったのは、薫がそもそも吸血鬼狩りに消極的だったことと、実の妹である響(ひびき)の存在があったからだった。
<薫お姉ちゃんは自分でしたいことをすればいいんだよ。響は吸血鬼ハンターが一番合ってるからしてるだけ>
姉の負い目に気づくと、響はそう言って励ましてくれたものだった。そんな妹に薫は甘えていたのだが……。
今、響は死に限りなく近い深い眠りについたままだった。黒羽と戦って敗れた際に、呪いをかけられたからだった。
解除する方法は二つ。黒羽自身が解除するか、黒羽を殺すか。
前者は常識的に考えられない以上、響の眠りを覚ますには、後者しか方法が無かった。
だからわたしは必死になって腕を磨き、そしてついに黒羽様の屋敷にメイドとして潜り込むことに成功した。でも、案の定黒羽様に隙は無かった。
黒羽は日本土着の吸血鬼の名門・烏丸家の直系であり、実力はかなりのものだったが、それだけではなかった。彼女には特別な能力があった。
<箱庭>を使いこなす能力。これが一番恐ろしい……。相手を<箱庭>に放り込み、自分に最適な舞台を作り上げた上で敗北に追い込む。響でも勝てるわけがない……。
薫が黒羽に負けたのも、<箱庭>内部でのことだった。ついに仇の隙を見つけたと思った薫は深夜、吸血鬼ハンターとしての衣装に身を包み、黒羽を強襲した。しかし、それ自体が罠だった。
……。やっぱり勝てるわけがないわね。<箱庭>のことを理解した今でも自信なんてないのに、あの時ときたら……。
今日の対戦相手はまだ現れなかった。準備に時間がかかっているのだろうか。
その苛立ちを抑えるため、そして気持ちを高めるために、あえて薫は自分が敗北した日のことを思い返していた。

気がついた時には、薫は黒羽の手によって<箱庭>の内部に取り込まれていた。背後からの不意打ちによって、一撃で葬り去るばずだったが、完全に読まれていたのだった。
しかも……。
「ここは? どうなってるの……」
妹の響が作ってくれた吸血鬼ハンター用の衣装に身を包んだ薫は、呆然として辺りを見回した。どういう理屈なのか見事に巨大化しており、ブーツは大通りを踏みつけてその場を陥没させていた。
この街は……わたしの住んでる街じゃない。まさか、駅前付近?
見覚えのある建物や道を見下ろして、薫はすぐに確信した。自分が黒羽の罠にかかったのは理解できたが、どうすればいいのかまったく分からない。
歩けそうにもない……。通りに車があるし、建物も邪魔だし。それ以前にここは本当にわたしの街なの?
落ち着こうとしても、心は空回りするばかりだった。現実を受け入れることができず、ただひたすら戸惑ってばかりだった。
それより、黒羽はどこ? もしこれが罠ならきっと仕掛けてくるはず……。
「無様な姿ね、吸血鬼ハンター藤間薫」
一片の熱も含まない声が耳を打って、薫は弾かれたようにその方向を見た。そこにいたのは、屋敷の主人であり吸血鬼でもある烏丸黒羽その人だった。
フリルなどで飾ったブラウスに、チェックのスカートと一体になった漆黒のジャンスカ、胸元には赤いリボン、そして紺のハイソックスに黒のブーツという、お嬢様にしては質素ないつもの普段着姿で腕を組んでいた。
薫と同じように身長50メートル近くまで巨大化し、腰まで届く長い黒髪を上空の風になびかせていたが、その瞳には強い殺意が宿っていた。
「あんたが藤間響の姉だってことは最初から気づいたわ。だからメイドとして採用してやったのにこのざまなんて、姉妹揃って本当におめでたいわね」
「黒羽……!」
「黒羽様よ。ちゃんと様をつけなさい。私は名門・烏丸家の娘なんだから」
「くっ……。わたしをどうするつもり!?」
黒羽の口元が緩んだ。極上の獲物を手に入れた猛獣を思わせる、愉悦に満ちた笑みに薫の心は凍りつく。
「どうするつもりかって? 決まってるじゃない。ここを舞台に遊ぶのよ。ここは私が用意した特製の舞台。思い切り楽しんで欲しいわね」
「どういう意味……?」
「私が一番好きな遊びはまだ教えてなかったわね。この箱庭世界で巨大化して、街を壊し尽くすこと。そして……同時に無抵抗な相手を嬲り尽くすこと!」
その言葉が合図だった。長い髪をなびかせた黒羽は一気に薫との間合いを詰めてきた。ブーツに包まれた足が大通りの車や設備を全て蹴散らし、アスファルトに足跡を残したのを見て、巨大化した吸血鬼ハンターはあっとなったが、それが隙となった。
「隙だらけじゃない。そんな事では勝てないわ!」
息が触れるほどの距離まで黒羽に迫られた時には遅かった。両肩を掴まれるとそのまま力任せに倒されたからだった。赤いスカートに包まれたヒップが通りに面したビルを直撃し、ガラスを粉々に砕く。慌てて伸ばした腕は周囲の建物をまとめて巻き込み、薫の心に恐怖と罪悪感の二重奏を奏でさせる。
派手に舞い上がった埃が消えた時には、身長47.1メートルに巨大化した薫は背中や腕で複数のビルを破壊して大通りに転ばされていた。
「えっ……。まさかわたし……壊してしまったの?」
「それだけ巨大化してるんだから当たり前!」
仕掛けた黒羽は笑みさえ浮かべていた。それどころか、スカートを豪快に翻しながら薫にキックを浴びせかける。黒いブーツの先が凶器となって、地面に倒れ込んだ少女の巨体を転がす。あまりの痛みに一瞬呼吸が止まったが、今度は背中で大通りの車をめちゃめちゃにしてしまう。それどころか、一部の車は黒煙を吹き上げたかと思うと、盛大に爆発する。
「一つ言っておくけど、ここは箱庭の世界だから炎はまったく平気よ。私も、あんたもね。火事を起こして足止めしようなんて考えないことね」
「誰が……そんなことを……」
「吸血鬼ハンターといっても追い込まれると何をするか分からないから忠告したまでよ。人間なんて所詮、餌でしかない下衆な生き物なんだから!」
妹手製のコスチュームから、ぼろぼろと瓦礫やスクラップになった車、アスファルトの破片を落としながら薫は体を起こした。刀を手に持ったままなのを確かめると、決然として睨み返す。
人間を侮辱する言葉は、絶対に許すわけにはいかなかった。
「いい目をしてるわね。でも、この街を舞台に戦えるかしら? この架空の街が本物の街とリンクしてる可能性には思い当たらないのかしら?」
「ま、まさか……!」
そんなはずはない、と薫の心は否定していた。しかし、証拠はまったく無かった。いつもはとにかく、今回に限ってリンクさせている可能性がある以上、完全否定は難しかった。
「さあ、どうするのかしら? 戦うなら幾らでも相手してあげるから。この街がどうなってもいいんだったらね。ちなみに私を倒さないとここから出ることは出来ないわ」
最悪の二者択一だった。
今、巨大化した薫がいるのは生まれ育った街。一部を壊してしまったのは何度も妹と共に歩いたことがある場所だった。そんな場所を舞台に戦うしかないのか……?
でも、このままでは何もできない。何とか最小限に被害を食い止めながら戦えれば……。
短くとも深刻な迷いの末に、薫は一番都合のいい結論を出した。要はこれ以上壊さないように戦えばいいのだ。
私には吸血鬼を一撃で討ち取る武器もある。隙さえ突ければ……。
ゆっくりと薫は立ち上がった。瓦礫を巨大なブーツで踏みしめながら、正面に立つ少女吸血鬼を見据える。
ここからが、戦いの本番だった。

……
今回の話は、イラストを描く合間に書きました。勢いがついてしまったのはそのせいもあるかもしれません?

この物語の今後の展開ですが、実は夏コミでさらに物語を追加して、オリジナル巨大娘小説本として出したいと考えています。今回設定を考えていたら、薫と黒羽の物語をもっと書きたくなったからです。巨大娘関連作品の新作を期待されている方もいますので、頑張ってみたいと思います(といっても今回はコピー本ですが)。

次回は来週、イラストをアップしたいと思います。期待していてください。
プロフィール

小笠原智広

Author:小笠原智広
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