魔導書にご用心

はい、今回はSSの番ですのでリクエストにお応えして、「東方project」よりパチュリー・ノーレッジの巨大化大暴れを描いてみました。活動的なイメージの無いキャラですが、美少女で服装が可愛いのでいざ暴れさせてみると非常に楽しかったです。隠れ巨乳という設定はデフォですよね?(笑)

……

「むきゅ~。困ったわね、これは……」
思わず額を指で押さえて、パチュリー・ノーレッジは口癖と共にぼやいた。
自分の部屋で届いたばかりの魔導書を読んでいたはずだったのに、突然魔力に満ちた光に包み込まれたかと思うと……。
「どうして、外の世界の街の中にいるのかしら? しかも巨大化してるし……。80メートルぐらいかしら?」
目の前に広がっているのは知識としては知っていた外の世界の街並み。但し、人影は見えないのでまるで模型のようだったが……。
だからって巨大化しなくてもいいのに。せめて普通の大きさなら歩けたのにこれじゃ、動けないし。
そう思いながら、足元に目を落とす。靴に包まれた巨大な足はアスファルトの道路を陥没させており、車も複数巻き込まれていた。
壊しちゃった……。元に戻せそうに無いし、どうしたらいいのかしら? それ以前に……。
「どうやってここから出たらいいの?」
その言葉をきっかけにするかのように。
<動かない大図書館>とも言われる魔法使いの少女の頭脳は答えを求めてフル稼働した。友人のレミリアからは<役に立たない>とまで言われても、知識は豊富なパチュリーである。たった一つの答えを導き出すまで時間はかからなかった。
しかし、その答えは……。
「やっぱり、方法は一つだけね。この街自体が私を囚える巨大な檻だから壊してしまうしかない。しかも……」
華奢な手を握りしめ、パチュリーは小さく肩を落とした。自分でもその結論を認めたくない事を表現するかのように。
「弾幕やスペルカードは使用不可。自分の手足を使わないといけないのね……」
むきゅ~。
今度は心の中だけで口癖を洩らす。
ただでさえ動きにくい服装の上に喘息持ちで身体も丈夫でない自分が怪獣にならないといけないと思うと……ただ憂鬱だった。

巨大化したパチュリーが行動を起こす気になったのは、それからしばらくしてからのことだった。
「仕方ないわね。どうせ誰も見てないし、怪獣みたいに暴れてしまうしかないわね。でもその前に……」
すっかり開き直ったパチュリーは、極めて現実的に行動した。動きにくい丈の長い衣服の裾を簡単な魔法で切り詰めたからである。ひざ下ぐらいまでほっそりとした足がむき出しになり、少しだけ気が楽になる。
「これでいいわね。後は……暴れるだけ」
極めて冷静な頭脳は、どんな建物も手足だけで壊し尽くせると分析していた。それを受け止めて、身体もついに動き始める。まずは、自分の破壊力を確かめるかのように、建ち並ぶ住宅の真上に足を下ろしたからである。
「あっ……」
予想はしていたが、実に呆気ない程だった。靴の下で複数の住宅が潰れて、ただの瓦礫と化したからである。模型を壊すよりも簡単だった。
「これなら……いけるかしら?」
口ではそう言いながらも、身長80メートルにまで巨大化したパチュリーは躊躇うことなく住宅街を蹂躙した。巨大な靴が凶器となって住宅を次々に破壊していき、断ち切られた電線が火花を散らして瓦礫を炎上させる。
それでも、巨大な魔法使いは止まらなかった。立ち止まって自分の破壊力を確かめると、真面目な表情を崩さないままその場に膝をついたからである。住宅や道路上の車がまとめて潰れたが、その感覚すらも楽しみながら、ほっそりとした指だけで周囲の建物をまとめて壊してしまう。
不思議と、楽しかった。
「たまにはいいわね、こういう遊びも」
自分でも酷いことをしているという意識はあったが、この空間から脱出するにはこれしか方法が無いのでは仕方なかった。無理やり自分を納得させながら、パチュリーは立ち上がった。洋服から落ちてくる瓦礫を軽く払うと、立ち塞がるマンションを簡単に両断してある建造物の方へと歩いていく。それは、鉄道の高架線だった。
「これも……壊していいのね」
小声でつぶやくと、いきなり線路の上に足を下ろし、完全に両断する。架線が切れて絡まってきたが、それを無理やり振り払うと、今度は線路の上にあった通勤電車を先頭から掴み上げる。巨大化した少女にしてみれば、ただの<武器>でしか無かった。
これで壊してしまうのも面白そうね。こうやって……。
思うのと行動が同時だった。3両目まで宙に浮いた通勤電車をパチュリーはそのまま近くのビルに投げつけたからである。それ程力がこもっていたわけではなかったが、電車の直撃を受けて建物は側面に大穴が空いてしまう。武器の代わりにされた電車も壊れて無残な姿をさらしていたが、巨大な魔法使いの行動はとんでもないものだった。
かすかに笑みを浮かべると、道路上に落下した車両を持ち上げて、なんとふっくらとした胸で挟んで壊してしまったからである。隠れ巨乳ということもあって、電車も簡単に破壊されていく。
「やっちゃった……。こういうのはお約束ね」
壊した電車を高架線に叩きつけてさらに瓦礫を増やすと、パチュリーはそこに足を踏み入れて全て蹴散らしてしまった。これで、電車は高架線ごと破壊される。
「次は……あれがいいわね」
自分の周囲に瓦礫が増えたのを確かめると、最早破壊衝動を抑えることはできなかった。軽快なステップで建物などを破壊しながら、今度は街の郊外に広がる遊園地に襲いかかっていったからである。かなり大きなものだったが、怪獣と化した魔法使いにしてみれば壊してしまうのは簡単だった。
まずは駐車場の車を全てめちゃめちゃにしてしまい、止めに全て踏み潰す。その後で大きなゲートを足だけで破壊して内部に入ると、ファンタジー世界にあるようなお城を力任せに叩き壊し、その瓦礫を踏みしめながらジェットコースターのレールを地面から引きちぎる。それを鞭のように振り回して周囲の施設を壊滅させると、自分の背丈近くの高さを誇る観覧車にキックをお見舞いしてその場に倒してしまう。挙げ句の果てにその観覧車を両手で持って遊園地全体をまんべんなく壊して、ついに壊滅させてしまった。
「意外と簡単に壊れるわね。スペルカードもいらないぐらいに」
ただの瓦礫と化した遊園地の中央部に足を伸ばして座り込んで、パチュリーは満足していた。
「……でも、まだかなり残ってるわね。早く戻らないとみんな心配するし、少し急いだ方がいいわね」
それはただの口実に過ぎなかった。
瓦礫を撒き散らしながら立ち上がったパチュリーは、ふわりと長い髪を揺らして新たな破壊活動に挑んだからだった。

その後も、巨大化した魔法使いによる大破壊は止まらなかった。
気がつくと街のほとんどは瓦礫の山と化し、残っているのはビルなどが建ち並ぶ中心街だけとなっていた。
そして、その頃には……。
パチュリーはすっかり破壊活動に酔っていた。自分の力だけで建物などを壊すのが面白くして、ありとあらゆる手段を使うようになる程だった。
「こういうのも面白いかもしれないわね……」
手足を最大限使って小さいビルなどが建ち並ぶ地区を壊滅させて、パチュリーは心の底からの微笑を浮かべた。その勢いで、今度はガスタンク基地に襲いかかる。門などを簡単に蹴散らして進入すると、軽く腰をかがめてタンクの一つを土台から引き抜く。50倍に巨大化しているので小さなボール程度の大きさだったが、平然とまだまったく壊していない地区へと投げつける。
その瞬間、火符系のスペルカードを使ったかのような大爆発が発生して、巨大化した少女の紫色の髪を大きく揺らした。ガスタンクの直撃を受けた一帯は派手に炎上し、建物も原形を失っていたが、残っていたタンクを踏み潰して突き進む。さらに爆発が発生し、炎が一瞬パチュリーを包み込んだが、当の本人は平然と建物を壊している始末だった。
「いよいよ最悪の状態になってきたわね」
目についたビルを幾つか足だけで壊し、パチュリーは口許に手を当てて微笑した。背後は瓦礫の山と化し、最後まで残っていた中心街付近もガスタンクの直撃を受けて炎上していたが、収まる事を知らない衝動は、さらになる破壊をもたらす。
まずは自分の背丈よりも高いビルに思い切り抱きつく。両腕とふっくらとした形のいい胸によって建物は簡単に両断されて、上半分はその場に落下する。それでもパチュリーは残った下半分を簡単に持ち上げて、隣のビル目掛けて叩きつけてしまった。轟音と共に崩壊したのを見ると、笑いながら足を降り下ろして止めを刺していく。
「洋服も随分汚れたわね」
ふわりと翻った裾などから瓦礫の一部が落ちたのを見て、魔法使いの少女は改めて自分の破壊劇の激しさを実感した。それでも、止まるという選択肢は存在しなかった。
瓦礫を蹴って軽くジャンプすると、そのまま壊していなかった商店街の真上に飛び下りたからである。足から着地して、凄まじい地震を周囲に巻き起こしたが、当の本人はバランスを崩してしりもちをついてしまう。とっさについた両手が住宅を薙ぎ払い、伸ばした足がアーケードごと商店街を壊滅させたが、すっかり開き直ったパチュリーはそのまま全身を使って転がった。巨大化した少女の体重を受け止めて、残っていた建物は全て壊滅する。
「……面白いわね、こういうのも」
両手両足を広げながら瓦礫の上に横になったまま、パチュリーは心の底から満足していた。
病弱なはずの身体はよく動くし、何よりも一つの街を瓦礫に変えてしまうのは楽しくて仕方なかった。
この魔導書は宝物ね。絶対、手放さないから。
そんな事すら考えているのだった。

こうして。
パチュリーの管理する大図書館に、また一冊門外不出の書物が追加された。その書物の存在は司書である小悪魔も知らなかったが、珍品好きのとある少女が嗅ぎつけるまで時間はかからなかった。
「これ借りてくぜ! 私が死んだら返すからな」
「そ、それは……。もってかないで~!」
「こっそり隠しておくなんて怪しいぜ。きっとここには凄い魔法が眠ってて……ん? なんだ、この光は?」
「あ……!」
本を借りていこうとした黒白魔法使いの少女と、それを守ろうとしたパチュリーが魔導書の中に取り込まれ、街を盛大に壊しながらどたばた騒ぎを繰り広げたのは……また別の話である。

……
パチュマリ編はリクエストがあったら考えます(笑)。

次回はイラストをアップします。現在2枚が手元にあり、3枚発注しています。お楽しみに!


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ついに開設2周年を迎えました

おかげさまで、このブログも無事開設から2周年を迎えることが出来ました! ひとえに多くの皆様からのご愛顧のお陰です。これからも更新を続けていきますので、今後ともよろしくお願いします。

というわけで、今回はOMC経由で依頼したイラストです。少し前に依頼したものですが、実はかなりのお気に入りです。

街破壊巨大少女幻想31

注意事項。イラストの著作権は作者様に所属します。無断転載は厳禁です。
Warming! Reprint without permission prohibition!

OMC経由で依頼したイラストで、作者は榎様です。
いやー見事に壊しちゃってます(笑)。モデルとなっているのは関西地方に実在する街らしいのですが……原形が残っていません。二人とも、制服姿のままで巨大化して好き放題やっちゃってます。二人の周囲にある建物も、いずれは背景のように壊されて瓦礫になってしまうのでしょうねえ。
ちなみにブレザー巨大少女については「電車で遊んでいる」という指定をしたらこうなりました。きっと、自分の力を見せつけるように散々弄んでからめちゃめちゃにしてしまうつもりでしょう。セーラー服巨大少女も笑いながらビルを壊し、足元も踏みにじっています。この二人が進んだ後には瓦礫しか残りません!

夏コミは非常に多くの方に来場していただきました。まさかここまで期待している方が多いとは思わず、嬉しい誤算でした。幸い、冬コミは3日目(12/31)ということもあってサークル参加は可能ですので、何とか本編を出したいと思っています。巨大娘好きが書いた巨大娘小説「港町の守護巫女」を今後もよろしくお願いします!

次回の更新はSSです。巨大化してしまうのは……「東方project」のパチュリー・ノーレッジです。ちょっと予告するとこんな感じでしょうか?

……
「動かない大図書館」こと魔法使いのパチュリーは喘息持ちということもあって、あまり身体を動かすのは得意ではなかった。
しかし、ある日。ふとしたことから、手に入れたばかりの魔導書の中に閉じ込められてしまう。そこは外の世界の現代日本の街並みが再現された世界だったが、パチュリーは50倍前後に巨大化していた。
「これは……この街を全部壊さないと魔導書から出られない?」
鋭利な頭脳が導き出した結論は恐るべきものだった。しかし、元に戻る為には仕方がない。巨大化したパチュリーは丈夫でない身体をおして、破壊活動を開始する。細い指、細い脚、隠れ巨乳が巻き起こす破壊劇の顛末は……?乞ご期待!(何か混じりましたけど気にしない方向で(笑))

街壊しゲームは準備が肝心


……また間が空いてしまいました。色々とやる事があってなかなか手が回らないのが原因ですが、更新は続けたいと思っていますので今後ともよろしくお願いします!
今回はSSです。「東方project」より、八雲藍(とその主人の八雲紫)の巨大化大暴れを描きたいと思います。よく考えるとこの二人、仕掛け人的な立場にあるので、その裏話として書いてみました。

……

「ふーん。上出来じゃない。いつもの事だけどいい仕事をするわね」
「ありがとうございます」
主人である八雲紫の言葉に、八雲藍は神妙に頭を下げた。
その背後に見えているのは神々しいまでに輝く九本の狐の尻尾。藍は妖怪の賢者・紫に仕える式神であり、神に近い力を持つと言われる九尾の狐でもあった。
「こんなに大きな街でも実在しないものなのね」
「はい。紫様の集めた外の世界の情報を編集して、矛盾の無いように再構築しました」
「それで私たちはこんなに巨大になってるのね」
嬉しそうに紫は言うと、手にしていた扇で手近なビルを差した。約50倍サイズに巨大化しているので、全ての建物がおもちゃのようにしか見えなかった。
「はい。この大きさならばこの程度の街は簡単に壊滅させることができます」
「ふふ。それが狙いなのよね。幻想郷には危険な破壊衝動を持った住民が多過ぎるから、少しは発散させないと駄目ね」
閉じた扇を口許に当てて、紫は微笑した。全ての男たちを魅了する妖艶な笑みだったが、それが合図となった。
いきなり、巨大化した紫はブーツに包まれた足で道路上の車を蹴散らして歩き始めたからである。アスファルトの道路が陥没し、その中に車が落ちていったが、紫は軽く腕を振って、目についた建物の上半分を吹き飛ばしてしまった。
「あらまあ……。脆いわね」
「はい。壊し易いように少しだけ弱くしてあります」
「いいわね……。テスト兼用で壊して上げるわ!」
藍が返事するよりも早く。巨大な紫は自らの破壊衝動をぶちまけるかのように大暴れを始めた。簡単に街は壊滅していったが、藍は顔色一つ変えない。
なぜなら……。
「藍、私の気は済んだわ。元に戻して」
「はい」
大型の駅やビルが建ち並ぶ地区を壊滅させて、その中心に悠然と立つ主人の言葉に、忠実な式神は軽く腕を振った。たったそれだけで、壊された建物などは全て元に戻る。
「完璧ね。ご褒美にしばらく貴方に自由な時間を与えるわ。気が済むまでこの世界で大暴れしなさい」
「はい。念の為にテストもしてみますので」
「いいわよ。貴方の好きなようにしなさい」
それだけ言い残して、紫はいつものようにスキマの中に消えていった。後に残されたのは、久しぶりに自由な時間を得た藍だけだったが、すぐに微笑する。
テスト兼用で好きにさせてもらいます。この街は破壊衝動を発散する為に用意したものですからね。
自分の心に眠っていた衝動を全開にして、巨大化した藍が本気になって暴れ始めたのはその時だった。

最初に標的にしたのは、藍が足場を置いていた駅前広場に面する大型の駅だった。まずは足元の車などを全て踏み潰しながら歩み寄ると、無造作に腕を振り下ろして駅の建物自体を破壊する。瓦礫がホームなどに落下し、電車などを巻き込んだのを見ると、今度は無造作に足を踏み入れてめちゃめちゃにしていく。駅の内部は簡単に破壊され、電車も一部が原形を失い始めたが、藍は破壊を躊躇ったりしなかった。
口許に笑みを浮かべると、一部を壊した電車を持ち上げて……何と見事なバストで挟んで壊してしまったからである。
ちょっと……気持ちいいかも。こういう壊し方も。
おそらく主人の紫が見ているだろうと思いながらも、藍は好き勝手に暴れるのを止めなかった。
電車を壊し尽くすと、今度は足だけを使って大型の駅をめちゃめちゃにしてしまったからである。駅の隣には車両ヤードもあったのだが、そこも巻き込んでしまうと、そこを足場に立ってみせる。
「建物とかの強度はちょうどいいぐらいと……。これなら幾らでも壊せそうですね」
そうつぶやいて、藍は口許だけで笑った。主人の命令で作った<幻想>の街並みだったが、その出来ばえには自身も満足していた。
「次は爆発炎上のテストが必要ですね。どこまで大爆発させられるか、確認しないと……」
この言葉が新たな攻撃の合図となった。巨大化した藍は壊滅した駅を出ると、その近くに広がる工場に足を踏み入れたからである。まずは、目についた建物を片っ端から蹴り壊していく。丈夫な靴で次々と壊していくのは楽しいの一言に尽きたが、テストの事は忘れていなかった。
鉄道の線路が引き込まれ、石油を満載したタンク車が留置されているのを見ると、その場に膝をついて一度に複数の車両を持ち上げたからである。おもちゃよりも軽く脆い事に満足しながら、藍は無造作にタンク車を目についたマンションに叩きつける。
その瞬間に起こった大爆発は、藍の予想通りだった。マンションは炎に包まれて壊滅し、その周囲もまた派手に炎上したからである。爆風が藍を直撃したが、所詮は<演出>なのでわずかな風程度にしか感じられなかった。
「計算通りの効果が出ているようですね。後は……」
自分の計算に寸分の狂いもない事を確かめて、藍の大暴れは加速した。心に破壊衝動を満たしたまま、今度は自慢の尻尾で周囲の建物を破壊し始めたからである。極上の柔らかさを誇る尻尾がふわりと揺れる度に住宅が、道路上の車がなぎ払われて破壊されていく。もちろんそれだけでは満足できず、踏み潰して止めを刺すのを忘れたりしなかった。
「手足を使うのもいいですけど、尻尾を使うのも悪くないですね」
広い範囲に渡って瓦礫を生み出しても、藍は罪悪感を覚えたりしなかった。実際、瓦礫や道路を踏みつけて立っている間にも、神々しい尻尾は背後にあるマンションを簡単に壊していたからである。
「でも、まだ無事な建物が多過ぎますね。どれだけの時間で壊せるか試してみるのもいいですね」
見事なバストを強調するかのように軽く伸びをしてから、藍は新たなテストを始めた。今度はどれだけ短時間で大量の建物を破壊できるか……だった。巨大化した式神にしてみれば、自分の楽しみを兼ねて試験しているだけだったが、狙われた街にしてみればたまったものではなかった。
無造作に座り込み、そのまま横になって転がった藍の巨体の下で建ち並ぶ住宅が一度に壊滅する。
オフィスビルなどが建ち並ぶ地区は藍自慢の尻尾が襲いかかるだけで壊滅していき、ただの瓦礫と化す。
大きな遊園地はそこに備えられた遊戯器具自体が<武器>となって破壊される。
全て藍によるテストの結果だった。
「まったく、藍も酷いことしてるわね」
主人の紫の声が再び耳に届いたのは、街の半分以上を破壊し、瓦礫の上に悠然と立っていた時だった。手には高圧電線塔の成れの果てを持っていたのだが、簡単に投げ捨てて答える。
「それを期待してたのではありませんか?」
「もちろんよ。でも、まだ物足りないわね」
突然、何も無い……ついでに言うならばまだまったく建物が壊されていない地区に50倍サイズに巨大化した紫が出現した。ブーツに包まれた足は建物を壊していたが、もちろん気にしていない。
「最後にもう一回だけテストが必要じゃない。この空間では無制限に近い程巨大化できるんでしょう? こんな感じで」
その言葉と同時に。
紫の身体が一気に巨大化した。50倍サイズの藍ですら足の一部しか見えない程に巨大化してからやっと止まる。おおよそ、1000倍サイズといったところだろうか?
ただ、足は地面についておらず、藍が破壊しつつある街はまだ何とか残っていた。
「ここまで大きくなると大変ね。街なんて一踏みで壊滅するじゃない」
「はい。ならば私も……。最後のテストをしてみます」
そう言って、藍も主人に負けない程巨大化した。空に向かって身長が伸びていくのは不思議な感じがしたが、街を壊したりしないように少し宙に浮いた状態で巨大化を完了する。
「あら? 壊さないの?」
「いいえ。壊します。こうやって……!」
その行動は、紫すらも多少驚く程だった。1000倍に巨大化した藍は、無邪気な笑みさえ浮かべて、半壊した街の上に座り込んでしまったからだった。そこに九本の尻尾がさらに襲いかかり……街どころか周囲の地形が完全に変形する程のダメージを与える。
「しかし、よく出来てるわね。こんなに打撃を与えても結界はびくともしないわね」
躊躇う必要も無くなったので、紫もまた着地した。地面が派手に陥没していくのが分かったが、その場に膝をついてさらにめちゃめちゃにする。
「これでテスト完了です。どんなサイズで巨大化して大暴れしても平気です」
「ふふ。そうみたいね。よくやったわ、藍」
「ありがとうございます」
街の上に座り込んでいた藍が立ち上がった。無造作に振った尻尾からはばらばらと何かが落ちてきたが、もちろん破壊された街の残骸だった。
「今後藍には撮影を担当してもらうわ。そして、幻想郷の少女たちに破壊衝動をぶちまけさせる。面白い映像が撮れるわよ」

こうして。
まったりとした幻想郷に新たな<遊び>がもたらされた。
妖怪の賢者が提供する<街壊しゲーム>。
最初は躊躇いながらも、誘い込まれた少女たちはその面白さに熱中した。
自分たちの行動が藍によって記録されているとは知らずに……。

……
次回はイラストの更新です。夏コミの後になりますが、ブログ開設2周年に相応しいイラストが手元にありますのでそれを公開したいと思います!

ここからは宣伝。
来週に迫った夏コミでオリジナル巨大娘小説「港町の守護巫女」の予告編を無料配付します。設定資料と書き下ろし短編「海からの使者」を入れて16ページ前後にしたいと思っています。スペースとサークル名は以下の通りです。

8/14(日)・東5地区・”プ”-20b「白鳳企画」

ほとんど私が店番していると思いますので、お気軽に声をかけて下さい(笑)。

プロフィール

小笠原智広

Author:小笠原智広
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